宇宙の美しい映像を見る時に、必ずと言っていいほど渦巻き銀河や棒状銀河などの映像や画像が出て来るのではないでしょうか。
そんな映像の中で、銀河の中心は異常なほど光り輝いており、さらにぼんやりと膨らんでいます。
あの光輝く膨らみを「銀河バルジ」と言いますが、いったい何故膨らんでいるのか?そしてその中には何があるのか?などと興味を持ったり疑問に思ったりしたことありませんか?
ここでは不思議な銀河の膨らみ「バルジ」について解説してみたいと思います。
銀河バルジって何?
アンドロメダ銀河などの全景を見ると、中心部がまばゆく輝きそして膨らんでいますが、これを「銀河バルジ」と言います。「Image Credit:Wikipedia」
このバルジは何故膨らんでいるか?については諸説ありますが、現在有力視されているのが銀河の中心に行けばいくほど星が密集しており、それにより他より輝きが大きく膨らんで見えているのです。
つまり、銀河の中心部には、銀河創世紀に集まって来た古い恒星たちの集団で特にエネルギーの大きい星も多いと考えられています。
なお、私たちの天の川銀河にもバルジが存在し、その大きさは直径1万5,000光年ほどあります。
地球から銀河の中心を見てもバルジが見えない理由
私たちの太陽系は銀河も中心から約2万6,000光年離れていますが、バルジの大きさが1万5,000光年あるのなら、そのバルジが夜空に見えるかも?なんてと思ったりしないでしょうか?ですが、ご承知のように地球上からは銀河の膨らみなんて見えません。
それは何故か?
地球から見る銀河の中心方向は、夏の夜空に見える天の川です。
「Image Credit:iStock」
上画像のように高感度カメラで撮影した天の川だと、何となくバルジらしき輝きも見えますが、実際に肉眼で見てもバルジがどこにあるのか?よくわかりません。
その理由は、地球とバルジの間にある他の天体などの障害物によって光が邪魔をされ見えていないからです。
もし、そんな障害物が無かったとしたら、素晴らしく輝く美しい天の川が見えるかも知れません。
たくさんの星が集まるバルジの中心にあるモノ
このサイトでも何度かご説明していますが、バルジの中心。つまり銀河の中心には巨大なブラックホールが存在すると考えられています。その巨大さはケタ外れで太陽の質量の数百万倍の大きさ。そして巨大ブラックホールに近いバルジの中には、銀河全体の約半数の約1,000億個もの星が集まり、言わば密集状態のため大きく膨らみ輝いて見えていると考えられているのです。
現在考えられているブラックホールは、太陽の30倍以上の星が寿命が尽き超新星爆発を起こした末路にブラックホールが出来るとされていますが、銀河の中心にあるような巨大ブラックホールは何故出来たのか?については未だ解明されおらず、謎のままです。
「Image Credit:天の川銀河の中心にあるブラックホール「いて座Aスター」の姿(Wikipediaより)」
銀河の中心に星が密集しているなら生命存在の期待も?
宇宙には、生命が生存可能な領域・ハビタブルゾーンというものがあります。地球は、太陽から程よく離れていて丁度良い太陽光を浴びることで生命が溢れています。
これは太陽系のような恒星系に当てはまるハビタブルゾーンですが、銀河にもハビタブルゾーンは存在するのです。
例えば、私たちの太陽系は銀河の中心から2万6,000光年離れている比較的星の密集度が少ない領域になります。
このような星が密集していない領域を銀河のハビタブルゾーンといい、生命が誕生してもおかしくない恒星系を形成することが可能になるそうです。
しかし、バルジのような星の密集領域だと、星間物質や恒星風が吹き荒れ生命生存には過酷な環境になってしまうと考えられています。
「Image Credit:iStock」
つまり、銀河の中心に行けば行くほど環境が悪くなるということで、もし地球外生命体を探すのであれば、太陽系近郊や、同じ銀河内のハビタブルゾーン内を探す方が確率が高くなると言われています。