月表面と内部の驚くべき真実とは？地球生命に影響の水と磁場

月夜の晩にのんびりと月を眺めてその美しさを感じるのもいいですが、月は私たち地球に住む生命にとって、絶対的に欠かせない大切な存在って事を噛みしめながら眺めるのも良いかも知れません。
月は地球生命の誕生から進化まで大きく関わっており、そしてこれからも地球の生命を支えて行く存在なのです。
ここでは、最近の観測研究でわかって来た、月が私たちにどう関わっているか？をお話したいと思います。

惑星・地球に対し圧倒的に大きな衛星・月が与えているチカラとは？

月は地球という惑星に属する唯一の衛星であり、惑星と衛星における大きさや質量の物理的比率でいうと太陽系で最も大きな衛星なのが月なんです。

「Image Credit：地球と月（NASA/JPL/USGS）】
例えば、太陽系で最も大きな衛星であるガニメデは木星の衛星ですが、惑星と衛星の質量比は木星の1,000分の1に過ぎず、それに対し、地球と月の質量比は約80分の1と圧倒的に月は重いのです。

「Image Credit：惑星と衛星の大きさ比率図（北海道大学より）】
重い月。それが意味する事は、衛星の存在そのものが惑星の環境に大きな影響を与えているという事であり、質量比の大きい衛星・月が惑星・地球に与えている影響で代表的なモノは、干潮や満潮といった潮の満ち引きで、地球を公転する月の位置によって月の引力で海水が引き伸ばされ満潮、干潮が発生します。

「Image Credit：中学受験理科の玉手箱】
また、このチカラによって海流や大気の流れも発生し、地球の海と大気は月の引力で程よくかき混ぜられ、海や地上の生物が生活しやすい環境を作り出してくれているのです。
Sponsored Link

月面に存在する水のルーツは地球の水と同じ？

太陽系に惑星が形成された初期の頃、地球には水は存在していなかったと考えられています。
もちろん、この頃の地球を誰かが見ていたわけではありませんので、あくまでも研究に基づく仮説なのですが、初期の太陽系はある意味混乱期で無数の微惑星が太陽系全体を取り巻き、地球にも微惑星が隕石となって降り注いでいました。そんな微惑星の中には水分も含まれているモノもあり結果として地球に大量の水を供給する事なります。
更に、地球の衛星である月にも微惑星が多く降り注ぐ事で、同じく水も供給されたと考えられていますが、ご承知のとおり月面は灰色とも言っていい、水などどこにも見当たらない荒涼とした大地が広がっています。
そんな月面ですが、ほぼ全域に水が存在する事が確認されています。

「月面に水？」荒涼とした大地のどこにそんなモノがあるのでしょうか？
もちろんそれは目視で確認出来るモノではなく、月面の岩やレゴリス（月の砂）等に水分子として浸透しているモノで、極地域の日の当たらないクレーター等の影の部分には水氷が溜まっている様子が観測されています。

「Image Credit：矢印の箇所が月面に溜まった水氷（NASAより）】
つまり、月面に存在する水は太古に地球に降り注いだ微惑星からもたらされた水と同じで、月面には当時のままの水が凍った状態で残っているモノと考えられます。

かつて月には磁場があり地球を守っていた！？

地球の中心部分には核が存在し、地球そのものの自重による強力な圧力により内核の温度は5,000度～6,000度にも達しているモノと考えられています。
そしてその強力な圧力と温度により磁場が発生し、太陽や宇宙からやって来る放射線から地球の表面を守ってくれており、さらに磁場がなければ、惑星は大気を維持する事が出来ず太陽風によってほとんどの大気は剥ぎ取られてしまうでしょう。
その証拠となっているのが現在の火星です。

かつての火星は地球と同じような厚い大気に覆われていたとされ、地球よりも自重の小さい火星は、年月と共に核が冷えていまい磁場も失われてしまいました。
それにより火星の大気は地球の100分の1程度まで減ってしまい、生命が生存出来る環境では無くなってしまっています。
そんな火星と同じような運命を辿ったのが月であり、初期の月は活動が活発で、核の温度は高かったモノと推測されており磁場も持っていたと考えられています。

磁場を持っていた月。それは誕生から約10億年ほど維持されていたとされています。