銀河と聞いて宇宙の知識がほとんど無い人でも思い浮かぶのが、私たちの太陽系が属する天の川銀河と良く銀河の代表として画像が出てくるアンドロメダ銀河。そしてアニメ・宇宙戦艦ヤマトを観ていた人なら誰もが知っている大マゼラン銀河ではないでしょうか?
今回は、良く名前が知られている2つの銀河の内、大アゼラン銀河についてスポットを当ててみたいと思います。
アニメで広く知られるようになった感が否めない大マゼラン銀河ですが、それ故に、本当に実在しているのか?疑っている人もいるかも知れませんが間違いなく実在する銀河です。
そもそも銀河と星雲の違いは何か?
銀河のお話をする前に、少し触れておきたい事があります。それは、良く銀河と星雲を混同する人がいる事についてです。覚えている人もいらっしゃるか?と思いますが、1970年代に放送された宇宙戦艦ヤマトでも、当初は大マゼランの事を星雲と呼んでいましたが正しくは銀河です。
銀河とは、太陽のような恒星が重力によって数千~数千億個以上拘束された巨大な天体の事で、そこには様々な星間物質も含まれており、その大きさ規模は数千光年から数十万光年まで及び、観測可能な範囲内だけでも、宇宙には銀河が数千億個存在すると考えられ、私たちの太陽系が属する天の川銀河も、2,300億個以上の恒星が集まった、約10万光年以上もの大きさを持つ巨大な天体だとされています。
一方、星雲の場合は恒星の集団ではなく、重力によってまとまった星間ガスや塵などで出来た概ねガスで構成された天体の事を指します。
星雲は、恒星が寿命を迎えた際に起きる超新星爆発後の残骸であったり、様々な星間物質が集まって構成された天体であったりし、大きさも数光年から数千光年と銀河に比べたらかなり小規模な天体になります。
「Image Credit:Wikipedia」
大マゼラン銀河とは?
アニメに登場した天体の名前なので架空なのか?と思うかも知れませんが、大マゼラン銀河は実在します。大マゼラン銀河は地球から約16万光年離れており、マゼラン銀河として大マゼランと小マゼランに分かれている不規則銀河です。
なお、大マゼランと小マゼランは同じ銀河ではなく、隣り合った銀河同士ですが小マゼラン銀河の方が少し遠い約20万光年の距離にあります。
「Image Credit:大マゼラン銀河(右)と小マゼラン銀河(左)(Wikipediaより)」
ちなみに、大マゼランや小マゼランのような不規則銀河とは、天の川銀河(棒状銀河)やアンドロメダ銀河(渦巻銀河)などに属さない不規則な重力干渉で構成された銀河の事を言い、ここではかなり活発な星の活動が起こっていると考えられています。
宇宙戦艦ヤマトの目的地に大マゼラン銀河が選ばれた理由
宇宙戦艦ヤマトでも、大マゼラン銀河までの距離を16万8千光年と、毎回放送の度に言っていたような気がしましたが、この大マゼラン銀河は地球から最も近い銀河のため個人的な見解ですが、例えば知名度はあるけど240万光年と途方も無い距離にあるアンドロメダ銀河よりも、お隣りの銀河・大マゼラン銀河の方がよりリアル感があり目的地がこの銀河になったのではないでしょうか。また、我々の太陽系がある天の川銀河と大マゼラン銀河、小マゼラン銀河はそれぞれ重力の干渉で繋がっている三重銀河ではないかとも考えられており、これもアニメの設定に関係があるのかも知れません。
大マゼラン銀河にイスカンダル星はあるのか?
宇宙戦艦ヤマトでは、地球より遥かに進んだ文明を持つ星・イスカンダルやガミラスが大マゼラン銀河の中に存在しました。もちろんこれはSFで架空の星ですが、実際の大マゼラン銀河にそのような星が存在する可能性があるのでしょうか?
前記もしましたが、大マゼラン銀河は不規則銀河です。
不規則銀河の内部は、生物生存には致命的で有害な星間ガスが大量に存在したり、活発な恒星活動である超新星爆発も頻発していて、かなり荒れ狂った銀河ではないかと考えられています。
そのため、生命が育まれるには穏やかな環境が必要とされるのであれば、想像する範囲内では、大マゼラン銀河は知的生命体の文明進化には不適合な銀河なのかも知れません。
大マゼラン銀河は肉眼でも見える銀河
全天の中で銀河が肉眼で見えるのはアンドロメダ銀河と大マゼラン、小マゼラン銀河だけです。しかし、マゼラン銀河は南半球でしか見ることが出来ないため、残念ながら日本での観測は不可能です。
もし、オーストラリアや南アメリカなどに行くことがあったら肉眼、もしくは双眼鏡などを持って探してみてはいかがでしょうか?
見つけ方は、季節的には南半球の夏の南の夜空を見上げ「かじき座」を探して下さい。
「Image Credit:http://www.study-style.com/seiza/Dor.html」
「かじき座」自体はそれほど明るい星座ではありませんので、見つけにくいかも知れませんが、この星座さえ見つけることが出来れば宇宙戦艦ヤマトの舞台「大マゼラン銀河」に出会えることでしょう。