前回、南海トラフ巨大地震の発生の危険性に関連し、私たちの足元・・・つまり地面である地球の地殻はどうなっているか?について解説してきましたが、今回はさらにその下にあるマントル、そして地球の中心はどうなっているのか?最新の調査研究で明らかになって来た事を解説してみたいと思います。

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まずは地球の大きさと内部構造を知っておこう

地球の半径はおよそ6,400kmです。ですが、地球は完全な球体ではなく赤道半径がやや大きく微妙な楕円形のカタチをしています。

「Image Credit:Wikipedia」
地球がやや楕円のカタチをしているのは、自転による遠心力で赤道方向が膨らんでしまうためなのですが、その内部構造は私たちが立っている地面である岩盤層、すなわち地殻、その下にはマントル、そして最下部にある核の3層構造になっている事は、小学校の理科の時間に習ったかと思いますのでご説明するまでもないかと思います。

「Image Credit:Wikipedia」
このように、地球は大きく分けて5層構造となり、その大半をマントルと核が占めており、地殻の岩盤層の厚さはわずか30~70㎞と、例えるならリンゴの皮ほどの厚さしかないのです。

マントルはドロドロのマグマではない

さてここから本題に入りますが、「地球のマントル」と聞いて、もしかしたら多くの人はドロドロに溶けた超高温のマグマをイメージするかも知れません。

「Image Credit:pixabay」
確かにマグマは地球の地下深くから湧き出して来ていますので、それがマントルだと思ってしまいがちですが、正確にはちょっと違っており、マグマもマントルの一部に違いないのですが、プレートの裂け間等、地殻の密度が低い場所に高温のマントルが沸き上がり、地殻を構成する玄武岩等と混ざり融解しマグマとなり、時として火山となって地上に湧き出して来るのです。
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マントルは宝石で出来ていた

マントルがドロドロのマグマでないのであれば、いったいマントルって何で出来ているのでしょうか?

マントルは地殻の下から約2,900㎞まで続いており、その体積は地球の約80%を占めています。
そしてマントルの主成分は「かんらん石」で構成され、かんらん石は8月の誕生石として知られる宝石「ペリドット」の原石でもあり、言い替えれば、私たちは宝石の上で生活してしていると言っても過言ではないのかも知れません。

「Image Credit:左「かんらん石」、右「ペリドット」(Wikipedia、Pearl for Lifeより)」
また、主にかんらん石で構成されるマントルの上部は「アセノスフェア」と呼ばれる流動しやすい柔らかい層で出来ているため、この層が移動する事で、その上部にある地殻(プレート)も移動しているのです。

マントルは高温でも溶けていなかった

マントルの主成分は「かんらん石」ですが、上部マントルから下部マントルに至るまで、ほぼ同じ成分であるにも関わらず下層部に行くほど圧力で相転移する事で結晶構造や密度が変化し、現在判明している転移した変移層は5層あると考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」
また、マントル層の温度は上部マントルで摂氏1,000~1,500℃まで達し、下部マントルに至っては摂氏4,000℃ほどの超高温にも関わらず、ほぼ岩石の状態で存在しており、その原因はマントル深部の高い圧力が岩石の溶融を妨げているからです。
しかし、硬い岩石層で構成されているマントル層でも、ゆっくりとではありますが絶えず対流が起きており、これにより地球内部の熱が表面に送られ火山活動やプレート運動にも起因しています。
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地球の核(コア)は液体金属と固体の金属で出来ている

ここからは地球の最深部である核(コア)についてですが、コアは2層に分かれていて、外側の1層目の外核(outer core)は厚さはが2,270kmあり主成分は高温(摂氏4,000℃前後)で液体状になった鉄とニッケル。そのため、液体金属の外核は常に対流しており、この流れが地球の磁場を生み出すカギとなっていると考えられています。

「Image Credit:USC Graphic/Edward Sotelo」
さらにその内側の2層目。すなわち地球の中心部である内核(inner core)は厚さが1,216kmで主成分は外核と同じ鉄とニッケルであり、外核が液体金属であるのに対し内核は固体で形成され、その温度は太陽表面の温度に匹敵する程の高温で摂氏5,000℃以上あると考えられていますが、その硬さも私たちが知る鉄とは違い非常に硬く、密度は地上にある鉄の約1.7倍以上とされています。また、内核は均一の状態ではなく深部に向かって不均質な螺旋状になっており、これにより地震波の伝わり方が場所によって異なる事が最近の研究で判明しています。

地球の内部に”第二の海”が存在する?!

これも最新の研究でわかって来た事でありますが、地球の内部(特に外核部)に大量の水素が含まれており、その量は何と!地上にある海の水の約50倍。

「Image Credit:getty images」
もちろん、水として地球内部に存在しているのではなく”水の素”である水素が地球深部に眠っているワケで、それほど大量の水素が存在する理由は地球創成期に遡ります。
原始地球には大量の水素があり、それが重い鉄の分子と結合する事で地球の深部へと沈んでいったモノと考えられ、地上に残った水素が酸素と結合し海になったと推測されるそうなのです。
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