以前からネット上でも都市伝説的に噂されている、アメリカ航空宇宙局(NASA)が行った人類の偉業「アポロ計画」での有人月面着陸は、真実ではなく実際には人類は月に行っていないという「アポロ計画陰謀論」。
人類の大偉業であると同時に、命懸けのミッションだったハズのアポロ計画に、何故このような噂が流れてしまうのでしょうか?
そして、この真偽はどこにあるのでしょうか?
今回はこのことについて、少し迫ってみたいと思います。
人類初の月面着陸を目指した「アポロ計画」の概要
まずは、今回のテーマである「アポロ計画陰謀論」の前に、アポロ計画がどのようなものだったのか?について簡単に触れてみたいと思います。時は米ソ冷戦時代の真っ只中の1961年。
当時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが発表した声明から「アポロ計画」は動き始めます。
当時、アメリカとソビエト連邦(現ロシア)の2つの大国は冷戦状態にあり、その中において両国は宇宙開発競争に突入したモノの、この競争はソ連が一歩リードしている状態でした。
そのような劣勢な状況に業を煮やしたアメリカ政府は、威信をかけてケネディ大統領がある声明を発表しました。
その声明の内容は「今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」というモノでした。
アポロ計画は、この言葉から始まったと言っても過言ではなく、これ以降一気に米ソの宇宙開発は人類を月面へ送るという競争が加速して行きます。
「Image Credit:’60年代のアメリカのタイタンロケット(左)とソ連のヴォストークロケット(右)(Wikipediaより)」
とにかく、ライバルのソ連よりも早く月面に立つという目標のもと、莫大な費用を投じ急ピッチで進められたのがアポロ計画でした。
これにより、ケネディ大統領の声明ギリギリの1969年7月、アポロ11号でアメリカは3人の宇宙飛行士を月に送り、そのうちの2人、ニール・アームストロング船長とバズ・オルドリン飛行士を人類初の月面着陸を成功させることになります。
◆参考動画①:【アポロ11号打ち上げ(1969年7月16日)】
◆参考動画②:【アポロ11号月面着陸上げ動画(1969年7月20日)】
◆参考動画③:【アポロ11号月面着陸~船外活動】
前人未到のアポロ11号月面着陸成功以降アメリカは次々と月ロケットを打ち上げ、アポロ17号(1972年)までの3年間で計12名の宇宙飛行士が月面の地に降り立っています。
これは、現在に至るまで(2022年)月面に人類が立ったという事実はなく、大偉業として人類史に深く刻まれることになったのでした。
大偉業を否定する声は何故起こった?
月面着陸という大偉業に対し、「本当に成功したのか?」
「実際は、月なんかに行っていないのでは?」
という、いわゆる月面着陸は捏造ではないのか?との議論が起こっていることをご存じの方も多いと思います。
でも、それは何故なのでしょうか?
その発端となったのが、アポロ計画には陰謀があったという書籍が出版された事でした。
これを機にアポロ計画は嘘なのでは?との荒探しが始まり、
- 空気の無い真空の月なのにアメリカ国旗が風で揺れているように見える。
- 月の空に星が写っていない。
- 宇宙飛行士と月面の岩の影が不自然な方向を向いている。
- そもそも当時のコンピューターの性能では、緻密な計算が必要な月面着陸など出来るハズがない。
「Image Credit:JAXA 宇宙情報センター」
そして何より不自然と疑われたのが、ケネディ大統領の声明に上がった、1960年代ギリギリに月面着陸が成功したという事実です。
つまり、1960年代に月面着陸が成功出来ないと、アメリカの信用は失墜するという危機感から捏造が行われたのではないか?とういう噂が持ち上がったという経緯があります。
もちろん、アメリカ政府はこの陰謀説を否定していますし、間違いなくアポロ計画は成功し人類は月面に降り立っている。と断言しています。
確かにもしアポロ計画が捏造であれば、それはアポロ11号だけで良かったハズです。
なのに、アポロ17号まで月面着陸させており、何よりアポロ13号に至っては、地球に帰還できないかもという大事故を起こしたにも関わらず奇跡的な生還を果たしている事を考えれば、捏造目的でわざわざこのような追加の実績を盛り込んだり、事故等の大掛かりな演出を行う必要があるでしょうか?
私個人の意見としては、間違いなくアポロ計画は成功していると信じています。
今後、人類の月面着陸の計画はあるのか?
人類の月面着陸は、現時点(2022年)ではアポロ計画が最初で最後のミッションです。この捏造説が持ち上がった理由の1つに、アポロ計画以降月に行っていないということもあり、もし人類が月面に降り立ったのであれば、その後も月面着陸ミッションが行われても良いハズだと、捏造を疑う人たちの意見でもあります。
しかしながら、月面着陸ミッションには莫大な費用がかかります。
実際、アポロ計画でも莫大な費用が投じられ約12兆円かかったとされています。
そのため、そう簡単には月面ミッションは行えないとう現実もありますし、そもそも世論がこれ以上の国費投入を許してはくれないでしょう。
「Image Credit:NASA」
だからと言って、NASAは有人月面探査計画を断念したワケではありません。
21世紀に入った現在、アポロ計画に継ぐ第二次の有人月探査計画は着々と進んでいます。
それが実行される予定は2020年代後半以降だとされており、今度の計画は1、960年代よりも遥かに進歩した現代の科学技術を使う事で、月面ミッションにかかる費用もかなり抑えることも可能になり、月面着陸のさらに上を行く高度なミッションも計画されています。
その計画の名前は「アルテミス計画」
「Image Credit:NASA」
アルテミス計画は、アポロ計画で培ったノウハウを元にさらに発展させ、月面着陸船はアポロ時代の着陸船の3倍の大きさで登場人員も倍増されます。
また、月面に物資も運び、月面基地の建設も計画しているとの事です。
「Image Credit:Artist’s concept by John Frassanito and Associates」
さらに、月面着陸ミッションはあくまでも人類の宇宙開発の通過点であり、上画像のアルテミス計画のポスターにも掲載されているように、その先には有人火星探査も視野に入れていると言います。
人類が月面に降り立って以降、宇宙開発はある意味停滞気味だったかも知れませんが、月面ミッションの再開を機に今後飛躍的に宇宙開発が発展するかも知れません。
そして、この宇宙開発の発展でアポロ計画は事実だった事が証明され、これからは正真正銘の事実として、とても楽しみな時代がやって来るかも知れませんね。