このサイトでも何度も紹介していますが、最新の観測によって宇宙には生命存在に期待が持てるような天体がいくつも見つかっています。
それは太陽系の天体の中にもあり、さらには太陽系外に見つかった惑星にもその可能性はあります。
しかし、これらの天体が将来人類が居住可能なのか?はまた別の話で、やはり人類が住むには、限りなく環境が地球に似ていないといけないようです。
果たして、人類が移住出来る「第二の地球」は見つかるのでしょうか?
現在の人類居住先候補は火星?!
今、近い将来の人類居住先の天体として盛り上がっているのが、私たちの地球の隣りにある惑星「火星」です。この火星について、ある一部の宇宙ベンチャーたちは「数年以内にも人類を火星へと送り居住させたい。」と言っていますが、現実的な話をすると火星の環境はとても人類が居住出来る条件を満たしているとは言えません。
確かに火星には大気もあり、1日の長さも地球とほぼ同じの24時間で季節も巡る環境があります。
しかし、火星に大気があると言っても気圧は地球の100分の1程度であり、こんな気圧の中に人が生身で放り出されると、ものの数十秒で息絶えてしまいます。
また、1日の時間や季節といっても見せかけだけで平均気温はマイナス40度以下と極寒の世界が火星の現実で、地上に季節を感じさせてくれる草木1本すら生えておらず、人が生きるのに必要な水も地上には存在しない、荒涼とした世界が広がっています。
(※ 補足:最近、火星の地下に水の痕跡は見つかり話題になっています。)
「Image Credit:実際の火星の地表写真(Wikipediaより)」
さらに致命的なのが、火星の重力の低さ(地球の約3分の1)と磁場の無い環境。
人が重力の低い火星に長期間滞在すると、筋力低下はもちろんの事、骨の劣化、内臓機能の低下など様々な障害を引き起こしてしまい、磁場が存在しないと太陽や宇宙空間からの有害な放射線が容赦なく降り注ぎ、放射線で汚染された土壌で作物を育てる事は出来ないどころか人間も被ばくしてしまい兼ねません。
このような過酷な条件の下、本当に人類を移住させようとしているのでしょうか?
個人的な意見になりますが、現時点での「火星移住計画」は正気の沙汰ではないと考えます。
人類が居住出来る星の最低限3つの条件
では、火星に人類が移住出来ないなら他に候補地はないのでしょうか?残念ながら太陽系には地球以外に、人類が居住出来る場所は無くもし「第二の地球」を求めるのであれば太陽系外へ出ないと行けないでしょう。
そして、太陽系外で探す天体候補地の第1条件となるのが「ハビタブルゾーン」です。
ハビタブルゾーンとは、太陽系のような星系の中で太陽と地球の位置関係のように、恒星と惑星(衛星)が生命を育める環境にある領域の事であり、もっと具体的にご説明すると、恒星と惑星(衛星)の距離関係が近過ぎもせず遠過ぎもしない、水が液体の状態を保てる丁度良い距離にある領域の事を言います。
「Image Credit:www.kousotu.com」
2つ目の条件は、水を豊富に湛える星である事。
人類が生きていくのにどうしても必要なのが水です。
また、豊富に水がある事で食糧となる生物も育まれ、星の大気循環も安定し住みやすい環境の確保に役立ちます。
3つ目が星自体の大きさ・質量。
天体の持つ質量もまた重要。
天体の質量が大き過ぎると重力も強くなり、その強い重力の影響で大気圧も上がります。
逆に小さ過ぎると重力も低く大気も繋ぎ止めておくことが出来にくくなるため、人類の住める環境ではなくなってしまいます。
他にも、地球の月のように大きな衛星を保有している事や、常に恒星に一方方向だけを向けていない自転速度(潮汐ロック)になっていない事も重要になって来ます。
居住可能な確率の高い星は見つかっている?!
最新の観測技術向上により、太陽系外に次々と惑星が発見されています。その中には、生命生存の可能性のある惑星もいくつか見つかっており、人類が居住出来る確率の高い惑星の存在も確認されています。
その惑星の名前は「ケプラー62f」。
ケプラー62fは、ケプラー宇宙望遠鏡によって2013年に発見された惑星で大きさは地球の1.4倍ほど。
ケプラー62fの主星である恒星ケプラー62は、太陽の7割ほどの質量を持つ安定した活動をしているK型主系列星で、主星との距離もハビタブルゾーンに位置しており、収集したこの星のデータを元にコンピューターのシミュレーションを行ったところ、水の存在の高さや大気構成が地球に似ている事が確認され、人類が居住可能である可能性がかなり高いということが判明したそうです。
「Image Credit:Wikipedia」
もちろん、この事実が判明したからと言ってケプラー62fに生命が居る証拠が見つかったワケではなく、あくまでも可能性としての事で、今後更なる調査では、生命存在の有無も判明するかも知れません。
ただ、残念な事に地球からケプラー62fまでの距離は1,200光年も離れており、今後いくら人類の科学文明は発達したとしても、この距離を渡る宇宙船を造ることは難しいでしょう。