広大過ぎる宇宙には、私たち人類が想像も出来ない程、高度な文明を持った地球外知的生命体が居るという考えがあります。
それはまるで荒唐無稽なSF映画のような世界にも思えますが、良識ある天文科学者たちの多くが大真面目に考えている事で、実際に途方もない超科学宇宙文明の発展度を示すカテゴリーであるカルダシェフ・スケールという考察も存在しているのです。

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銀河系には最低でも36の知的文明が存在する?!

今回の本題であるカルダシェフ・スケールについてお話する前に、そもそも地球以外の宇宙にどれくらいの知的生命が存在しているのか考えた事はあるでしょうか?
この疑問についてイギリスの研究チームが発表した結果、銀河系(天の川銀河)全体で、今現在において少なくとも36もの文明が存在していると考えられ、地球文明も36個のウチのひとつだと言います。

「Image Credit:iStock」
もちろんこれは確証があった上での研究結果ではなく、あくまでも理論上においての研究結果であり、その文明とは通信技術を持つ文明の存続期間が100年と仮定された上の事で、さらに100年以上ではあれば、もっと多く存在するとされ、その数は数百にものぼるのでは?と予想されるそうです。

この研究においての根拠は、私たちの地球文明を基準として考え、恒星系の誕生から50億年以上経過した場合、生命が進化するであろう惑星がハビタブルゾーンに位置する事を条件に、高度な知性を持った生命体へ進化し、さらには通信技術を獲得できる程の文明へと発展し得る割合を、銀河に存在する2,000億個以上の恒星系から絞り込むとこれだけの数字が算出できると言います。

宇宙文明の科学レベルを分類化するカルダシェフ・スケール

さて本題のカルダシェフ・スケールですが、20世紀旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフ氏が1964年に考案した、宇宙文明の超科学発展レベルを3段階でカテゴライズしたモノです。


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タイプⅠ>惑星文明

カルダシェフ・スケールにおけるタイプⅠ型の文明レベルは「惑星文明」とも呼ばれ、知的生命体が住む惑星にある資源や自然現象等、エネルギーとして利用できる全てを制御できる科学文明の事で、現在の人類もタイプⅠに分類は出来るのですが、実際は、地球の資源や自然現象すべてをエネルギー利用は出来ていないため、人類の科学文明はタイプⅠに到達はしておらず0.6~0.7程度が地球文明のレベルであるとされています。

タイプⅡ>恒星文明

タイプⅡは、恒星系レベルでエネルギー利用できる文明の事で、自分たちが住む惑星の主星(太陽)規模のエネルギーを制御、利用できるという超科学文明の事です。
例えば、私たちの太陽は毎日、膨大なエネルギーを放出していますが、そのうち地球に届くエネルギー量は全体の20億分の1程度です。もちろん、今の人類はその20億分の1のエネルギーのほんの一部しか利用出来ていませんので、人類がタイプⅡ文明になるのは夢のまた夢の話。ですが、宇宙のどこかに存在するかも知れないタイプⅡ文明を持つ宇宙人は、恒星のエネルギー全てを利用出来るらしいのです。

タイプⅢ>銀河文明

タイプⅢまで到達すると、もう何が何だかわからないというのが実際のところで、この文明レベルまで到達すると、銀河全体のエネルギーをコントロールできるそうで、例えば、私たちの銀河の中心にある太陽質量の430万倍もある超巨大質量ブラックホールですら、タイプⅢ文明はエネルギーを制御出来るというのです。
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タイプⅡ文明が造ったダイソン球(構造物)が7つも見つかった?

カルダシェフ・スケールは、惑星・恒星・銀河レベルでエネルギー制御が出来る科学文明をベースで考案されているため、普通に考えれば、どのカテゴリーもとんでもない科学力を有する文明のため「あり得ない。」と思われるかも知れないでしょう。
しかし、地球外知的生命体探査(SETI)計画「プロジェクト・ヘパイストス 」は、宇宙には実際にカルダシェフ・スケールに該当する文明があるかも知れないと、異星人の巨大構造物を探すプロジェクトを進めており、その探査の中で私たちが住む天の川銀河内に、タイプⅡに該当する恒星のエネルギ-を制御する巨大構造物「ダイソン球」ではないか?と思われる候補の天文現象を7例発見しています。

「Image Credit:ダイソン球の想像図(Getty Imagesより)」
ダイソン球とは、アメリカの物理学者フリーマン・ダイソン氏が提唱した、恒星のエネルギーを最大限に取り入れようとする設備で、恒星の周りをエネルギー供給システムで覆ってしまうという、今の人類では到底想像も出来ない超テクノロジーを用いた巨大構造物です。

プロジェクト・ヘパイストスでは、銀河系の500万個以上の恒星から過剰に放射される赤外線を観測し、その結果ダイソン球候補368個の天体を特定。そのうち疑わしい観測データを取り除くと7個の天体がダイソン球の可能性があると特定されたそうです。

「Image Credit:ダイソン球の予想図(Віщунより)」
科学文明が発達すればするほど、文明を維持するためにエネルギー量は増加して来ます。そのため惑星から供給するエネルギーだけでは足りず、恒星からのエネルギーも必要になり、結果としてダイソン球のような超テクノロジー構造物が建造されるようになる。とした発想が生まれたと言います。
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発見されたタイプⅡ文明のダイソン球は可能性が低い!?

恒星の周囲を覆うダイソン球が実際に存在した場合、それは恒星の放射をほとんど完全に遮断してしまうため、地球からの観測ではほぼ発見が不可能。しかし、エネルギーを変換する過程で必ず排熱が生じるため、ダイソン球を遠く離れた位置から観測すれば、排熱で生じる赤外線の波長で異常に明るく見える天体として映る可能性があり、プロジェクト・ヘパイストスではそこに着目し、この7個の候補天体の発見に至ったとの事です。

「Image Credit:Matías Suazo, et al.」
上図↑↑は、今回見つかった7個のダイソン球候補のうちの2つの観測結果で、これを含む7つの星全て低質量恒星の赤色矮星であり、左グラフは、予測される他の波長の放射量と比べると異常に赤外線放射量が多いとの事。とは言え、これが本当にダイソン球なのか?と判断する事は難しく、むしろダイソン球ではなく、恒星の周りをガスや塵、また大小さまざまな岩石の破片が周回している事でダイソン球のように見えるといった考え方が正しいのではないか?とされてます。
すなわち、これらはダイソン球である可能性は非常に低いという事であり、仮にタイプⅡに該当するダイソン球を持つ、カルダシェフ・スケールのカテゴリー文明が地球から観測出来る距離にあったとしたら、それはタイプⅡ文明の方から地球に対して、何らかのコンタクトを取って来る可能性の方が遥かに高いでしょう。つまり、今のところそんなコンタクトが無いって事は、やはりこれらはダイソン球などではないと言えるのではないでしょうか!?
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