このサイトでは、何度も私たちの生命の源とも言える太陽について解説して来ましたが、それでもまだまだこの天体の事を話尽くす事は出来ません。
そこで今回も話題を太陽に絞り、一般の人たちが持っている太陽に対する誤解と疑問を解いて行こうと思います。
そして知れば知る程、太陽が如何に壮大な存在なのか?もわかるかと思います。
高画質動画で見る本物の太陽の姿
太陽について解説する前に、YouTUBEで公開されている高画質の太陽の姿をご覧いただければと思います。地球から約1億5,000万キロも離れているのに太陽は常に大きく見え、毎日、地上を明るく、そして暖かく照らしてくれています。そんな太陽の本当の姿を捉えた画像がコレです。
とにかく迫力のある太陽ですが、とは言ってもこの動画は厳密には本当の姿ではなく、私たちが見やすいように画像加工されたモノであり、もし本当のリアルな太陽の姿を見たとしたならば、私たちの眼は正常な状態でいる事は出来ないでしょう。
酸素が無いのに太陽は燃えている?
私たち地球に住む者にとって”燃える”~いわゆる燃焼の概念は酸素がある事で燃えるという考え方があります。そんな燃えるという概念で考えると、酸素の無い真空の宇宙で太陽は何故燃えているの?と疑問に思う人もいるかと思います。
「Image Credit:Wikipedia」
上画像↑は、人工衛星が太陽の表面を捉えた画像ですが、この画像だけを見ると燃え滾るマグマのように見えてしまいます。
しかし、いくら燃えているように見えていても太陽は燃えてなどいないのです。
高熱を発し光り輝く太陽ですが、そのエネルギーを生み出しているのが太陽の中心部で起きている熱核融合によるモノなのです。
この世(宇宙)に存在する全ての物質は、直径が約1億分の1センチメートルという原子から出来ており、その原子の中心には原子核があり、そこに高密度による強い圧力がかかることで原子核同士が激しくぶつかり合うと、より重い元素ができるという反応が起きます。これが核融合と呼ばれ、太陽の中心では最も軽い原子である水素の原子核が激しくぶつかり合う事で、水素より重いヘリウム原子がつくられています。
この水素からヘリウムがつくられる熱核融合反応によって生まれた膨大なエネルギーの一部が、光や熱となって放出される事で太陽の表面部にあるガスが高温に熱せられ、”燃えている”ように見えているのです。
「Image Credit:核融合反応のイメージ図(Wikipediaより)」
太陽の熱はどうやって届くの?
前記もしましたが、太陽と地球の距離は約1億5,000万キロと、秒速30万キロの速さを持つ光でさえ8分以上もかかる距離です。そんな遠く離れた場所にある太陽から地球まで、どうやって熱が伝わるのでしょうか?しかも太陽と地球の間は、何も伝わるモノがない真空の宇宙空間のハズです。
しかし、その熱を伝え方の答えを持っているのもまた太陽。
太陽からは熱や光以外に強烈な電磁波(放射線)も放出されており、太陽熱は「放射」という伝達方法で電磁波に乗って地球まで届き、その熱が地球まで到達したら「対流」という大気による伝達方法が加わり、私たちのもとまで届いているのです。
エネルギーを放出し続ける太陽は軽くなっている
水素原子による熱核融合反応でエネルギーを放出し続ける太陽は、当然ながらエネルギー消費をしているワケで消費した分軽くなっており、そのエネルギー消費量は毎秒420万トンだと考えられています。1秒間に420万トンずつ軽くなっていると聞くと、太陽はどんどん軽くなってこれからどうなるの?なんて心配するかも知れませんが、そこは全く心配する必要などありません。
巨大なガスの塊である太陽は超高密度な天体でもあり、その密度から減る水素の量は、太陽が誕生してからの約46億年間で1万分の3とわずかしか消費していないと考えられています。
つまり、それだけ太陽は巨大な存在だという事なのです。
太陽から受ける地球の恩恵はほんのわずか
現在、地球に降り注ぐ太陽エネルギー総量は177兆kWだとされており、これは全世界の年間エネルギーをわずか1時間程でまかなう事が出来るほどの膨大なエネルギー量だと言います。「Image Credit:iStock」
しかし、この地球が太陽から受け取る膨大なエネルギー量は、太陽全体から放出されるエネルギーに比べたらほんのわずか。
実は、地球は太陽からのエネルギーを20億分の1程度しか受け取っていないのです。
超巨大なエネルギーを持つ太陽も壮大な宇宙ではちっぽけな存在だった
巨大なエネルギーの塊である太陽は、太陽系全体質量の99.86%と占めています。つまり太陽系はほとんど太陽で出来ていると言っても過言ではなく、太陽から見たら私たちの住む地球などちっぽけ過ぎる存在だという事も言えるでしょう。ですが、そんな太陽も広大な宇宙からみたら、またちっぽけな存在になってしまいます。
太陽系が属している銀河は天の川銀河で、太陽系は天の川銀河の外れに位置しています。
「Image Credit:国立天文台」
天の川銀河の直径は約10万光年程だと考えられおり、その銀河内には太陽のような恒星が2,000億個以上存在していると考えられていますが、一概に銀河内に2,000億個もの星が存在していると言っても信じがたいかも知れません。そこでそれが少し具体的にわかる画像を見つけましたのでご覧いただければと思います。
「Image Credit:ESO(ヨーロッパ南天天文台)」
上画像は、地球から天の川銀河の中心方向を撮影したモノですが、この画像の中には約8,400万個もの恒星が写っているそうで、さらにその一部(赤枠内)を拡大した画像が以下になります。
「Image Credit:ESO(ヨーロッパ南天天文台)」
この画像に写っている一つ一つの点全てが、大小の差はありますが太陽のような恒星であり、銀河内には星がひしめき合っているのがわかるか?と思います。
この実際の画像でおわかりかとは思いますが、私たちから見たら強大過ぎる太陽も宇宙(銀河)からみたら2,000億分の1に過ぎないちっぽけな存在だという事も事実なのです。