私たちにとって生命の源である太陽は、宇宙に存在する無数の星の中のひとつで、夜空に輝く星々(恒星)と同じ存在です。
そんな太陽を含めた恒星たちは、永遠に輝き続けるのではなく寿命を持っているのも周知の事実。
では、恒星の一生はどのようなサイクルなのでしょうか?
ここでは、恒星がどのように誕生して進化し、そして終焉を迎えて行くのか?について段階的にまとめてみました。

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星の寿命は質量で決まる!

冒頭でもお話しましたが、宇宙には星(恒星)が無数に存在し、私たちの太陽系がある天の川銀河内だけでも2,000億個以上の星々があり、太陽はその中のひとつにしか過ぎません。

「Image Credit:iStock」
そんな無数にある恒星たちも大小様々で、それらは恒星自体が持つ質量で星の一生が決まってしまい、巨大な質量を持つ恒星の寿命は短いモノで数百万年、低質量の恒星の場合、数百億年以上もの寿命を持つとされており、大質量の恒星ほど代謝が速く激しくエネルギーを消費し短命で一生を終えるのに対し、低質量恒星は代謝が遅くゆっくりとエネルギーを消費するため、信じられないくらいの長寿命を持つとされています。

なお、既知の恒星の中で最も巨大な質量を持っているとされる恒星は、地球から約16万3,000光年離れた大マゼラン銀河の中に位置するタランチュラ星雲内に存在する「R136a1」で、質量は太陽の315倍もあるとされ、激しいエネルギー消費のため光度(エネルギー放出量)は太陽の約8,700,000倍。表面温度も5万度を超えているモノと推定されており、逆に低質量の恒星ともなると銀河内の恒星の7割を占めているとされ非常に多く存在し、現在見つかっている低質量恒星の中には数兆年の寿命を持つ星もあると考えられています。

「Image Credit:タランチュラ星雲からR136(3枚目右下)へと拡大した画像(Wikipediaより)」
ちなみに私たちの太陽は、大き過ぎも小さ過ぎもせずエネルギー代謝も安定しており、現在の恒星年齢は約46億年で寿命は100億年程度ではないか?と考えられています。

恒星の一生は第5形態で変化する

さて、星(恒星)の一生ですが段階的に大きく分類すると5形態に分けられますが、この段階を経る事で星はまた新しい星を形成するという、言わばリサイクルを繰り返しているとされています。

「Image Credit:恒星の誕生から終焉までのサイクル(Wikipedia)」

第1形態は星が誕生した創世期の原始星

恒星の第1形態は「誕生(Brith)」。
ガスや塵等、星間物質が集まる事で自己重力による密度の高い分子雲が形成されて行き、収縮される事で”恒星の卵”とも呼べる「原始星」が誕生します。
やがて高密度となった原始星の中心部で熱核融合反応が発生し、恒星が産声を上げ新しい星が誕生する事となるのです。

「Image Credit:原始星の想像図。中心に原始星がありそれを回転するガス円盤が取り巻く(国立天文台より)」

第2形態は星が安定して活動する働き盛り主系列星

恒星の第2形態は「主系列星(Main Sequence)」。
この形態では星の中心部で水素がヘリウムに融合される核反応が起こっている状態にあり、この状態にある恒星を主系列星(矮星)と呼び、私たちの太陽は今まさにこの状態を維持しており、人間に例えれば働き盛りで、恒星としてのバランスが取れて安定している状態です。
この時、恒星の質量により表面温度も変わる事でスペクトル分類し、表面温度の高い順にO,B,A,F,G,K,Mの各型に分け、太陽はG型の主系列星に分類されています。

「Image Credit:Wikipedia」

第3形態は燃料枯渇による膨張期

恒星の第3形態は、星の中心部で核融合反応を起こしていた水素が枯渇した事で、その中心核周辺で殻状の層で起こる核融合反応(ヘリウム等の核融合)により、星全体が膨張をし始める「老年期(Old Age)」に突入します。
この状態になった恒星は赤色巨星とも呼ばれ、もし太陽が膨張を始め赤色巨星になった場合、地球をも飲み込んでしまうほどの大きさまで巨大化すると考えられており、太陽以上の大質量の恒星の場合は赤色超巨星と変貌し、その大きさは直径が数十億キロにも達するとされています。

「Image Credit:赤色超巨星の「おおいぬ座VY星」と太陽との大きさの比較(Wikipediaより)」

第4形態は質量によって運命が大きく変わる星の最期

そして第4形態が恒星の質量によって、運命を大きく作用する最期の段階(Death)です。
低質量恒星の最期は燃えカスが残る
まず、私たちの太陽のように恒星としては標準タイプのそれほど質量が大きくない天体(太陽の0.5倍~8倍程度までの質量を持つ星)は、赤色巨星に進化を遂げると核融合反応が停止し、外層部を取り巻くガスが重力の束縛が弱まり徐々にガスが宇宙空間に流出して行き、星の中心部の核のみが残され地球サイズ程となった「白色矮星」となります。

「Image Credit:ESA/NASA」
白色矮星は恒星が終焉を迎えた後に残る言わば”燃えカス”のような天体で、強い重力は持っていますが余熱だけで輝くだけの天体であり、その余熱も長い時間をかけて徐々に冷えて行き、冷え切った後は輝きを失った「黒色矮星」になると考えられています。

ちなみに、白色矮星が冷え切って黒色矮星になるまでは数百億年の時間を要すると考えられており、宇宙が誕生して約138億年の現在においては理論上、黒色矮星は存在していない事になっているため、実際にも黒色矮星は発見されていません。
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大質量恒星は壮絶な最期を遂げる
現在の定説において太陽質量の8倍を超える恒星は、その強大な質量によって核融合反応を繰り返し赤色超巨星に進化し、最期には核融合の燃料となる物質を使い果たしてしまいます。
そのようになってしまった恒星は、核融合によって星自体を支えていた圧力を失ってしまい、一気に星の内部に落ち込もうとする重力に支配される重力崩壊で衝撃波が発生し大爆発(超新星爆発)を起こしてしまいます。

「Image Credit:宇宙科学研究所キッズサイト「ウチューンズ」」
なお、この超新星爆発のメカニズムを「Ⅱ型超新星」と呼び、それとは別に低質量の恒星が白色矮星になった場合でも超新星爆発が起こってしまう「Ⅰ型超新星」もあり、これは白色矮星の近くに赤色巨星があった場合、赤色巨星を取り巻くガスが白色矮星の強い重力に取り込まれ暴走して爆発を起こしてしまう現象です。

「Image Credit:宇宙科学研究所キッズサイト「ウチューンズ」」

第5形態は残骸~そして再生へ

最後の第5形態は星が終焉を迎えた後の残骸(Remnant)ですが、これは新しく星が生まれるリサイクルの段階でもあります。

私たちの太陽のような比較的質量の小さい恒星(太陽質量の0.5倍~8倍程度)は赤色巨星から白色矮星に変わりますが、外層のガスは宇宙空間に四散するものの、やがてまた一箇所に集まり原始星を形成し新しい星が誕生するというプロセスが形成されて行きます。

一方、超新星爆発を起こしてしまった大質量恒星の残骸は、強力な重力の塊である中性子星、もしくはブラックホールへと変貌する場合もありますが、それでも爆発によって宇宙空間に流れ出たガスはまた一箇所に集まり、新しい星の誕生に繋がって行くモノと考えられているのです。

「Image Credit:超新星爆発の残骸「かに星雲」(Wikipediaより)」

私たち生物も星の残骸で創られている!?

私たち人間を含む全生物の身体は原子の集合体であり、炭素や酸素、窒素、カルシウム等様々な物質の原子が集まり構成されています。
そんな物質の原子の製造元は、太陽のような恒星の核融合により生み出されたモノであり、恒星が誕生し終焉を迎え、そしてリサイクルを繰り返す過程で私たちの身体の基となる物質も供給され生命に繋がっていると考えられており、生物だけでなく私たちの生活に入り込んでいる全ての物質は”星の一生”の副産物である事を知れば、当たり前に存在する太陽という恒星もまた見方が変わって来るかも知れません。
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