子供の頃「宇宙に行ってみたい。」と夢を見た人も多いのではないでしょうか?
しかし、大人になった現在もそれは夢物語に過ぎず、宇宙旅行なんて莫大な費用がかかるため、選ばれた宇宙飛行士か、民間人でも極少数の金持ちしか宇宙に行けていません。
ところが最近になって、将来我々のような一般人でも気軽に宇宙旅行に行けるかも知れないと、夢が現実になる時代がやって来るのでは?という大きな期待が出て来ているのです。
果たして、本当に誰もが気軽に宇宙旅行が出来る時代がやって来るのでしょうか?現時点での宇宙開発の状況と、今後の展望について調べてみました。
これまで宇宙に行った人の数
旧ソ連の軍人・ユーリイ・ガガーリン氏が人類ではじめて宇宙に行ってから半世紀以上。以降、宇宙に行った人は延べにして1,200人余り(2020年現在)で、その中で月まで行った人は、事故のため途中で引き返し生還したアポロ13号のクルーを含めると、延べ27人(うち月面に降り立った人12人)と、半世紀以上の時間をかけても、たったこれだけの人しか宇宙に行けていないのが現状です。
「Image Credit:NASA」
現状では、独自で宇宙開発を行っている中国を除いて宇宙へ行く人のほとんどが国際宇宙ステーション(ISS)への搭乗が目的となっており、宇宙に行くとは言え、わずか400キロ上空の低軌道を周回している場所に行っているに過ぎません。
もちろん、400キロ上空の地球周回軌道まで行くのに、大変な技術と莫大な費用がかかるのは分かりますが、今のところ人類にそれ以上の宇宙開発の進展がないのが寂しいところではあります。
近い将来実現する宇宙旅行とは?
これまでの宇宙開発は国家プロジェクトとして行われて来ましたが、21世紀になり民間も積極的に宇宙開発に参入し、宇宙ビジネスを展開しようとしています。その中で、民間人が直近で宇宙旅行が可能になるのが、高度100キロほど上空まで上昇する弾道飛行を利用し数分間の無重力体験をしようとするというのが主な宇宙旅行の手段であり、既にいくつかの企業がこの宇宙旅行サービスに乗り出しており、日本でも俳優の岩城滉一さんがこの宇宙旅行に参加する事が話題になっています。
この宇宙旅行。飛行時間は1時間足らずで成層圏外に出る時間は10分程度。
果たしてこれが宇宙旅行と言えるのか?は疑問ですが、それでも成層圏を抜けた世界~宇宙に行けるのですから、本物の宇宙体験が実現する事にはなります。
ちなみに、この弾道飛行宇宙旅行にかかる費用は、日本円で約900万円だと言いますので、頑張れば庶民でも宇宙に行ける?かも知れません。
商業宇宙開発の参入による進展に期待
民間企業の宇宙ビジネネス参入で、今後の宇宙開発は飛躍的に進展する可能性を秘めています。そんな民間企業の中でも、スペース・アドベンチャーズ社やスペースX社は巨額な資金を投じ、本格的な宇宙進出を図っており、地球周回軌道での宇宙ビジネスをはじめ、将来的には月面や有人火星飛行も目指しています。
「Image Credit:スペースX社ドラゴン宇宙船(www.spacex.com/)」
このような民間での商業宇宙船の運用が本格的に開始されると、一般人でも宇宙旅行に行ける時代になり、もしかしたら近い将来、宇宙旅行が海外旅行のような気軽な感覚で行ける時代がやって来るかも知れません。
また日本でも、かつて時代の風雲児と呼ばれた起業家・堀江貴文氏も、これからの宇宙ビジネスに注目し自力でロケット開発を行っています。
「Image Credit:インターステラテクノロジズ(IST)」
堀江氏らが展開する宇宙ビジネスは、現時点では有人ロケットではなく小型で低コストの物資運搬ロケット開発で、宇宙ビジネスの需要拡大に伴い、小型で低コストのロケットを量産する目的があり、しかし将来的には「みんなが当たり前のように宇宙に行ける世界を実現する。」との目標があるそうです。
誰でもは行くことが出来ない宇宙
本格的な民間企業の宇宙ビジネス参入によって、一気に宇宙開発が進展する期待感もありますが、もし、誰もが宇宙に行ける時代がやって来たとしても、必ずしも”誰もが行けるワケではない!”のが宇宙の厳しさです。それは、地球という環境で生まれ育った人類にとって、宇宙は環境がまったく違う異質な世界である事にあり、その証拠に、これまで宇宙に行った宇宙飛行士の多くが、身体に起こった異変に悩まされていることにあります。
例えばそれは、視力の低下であったり、骨の劣化、筋肉や内臓器官の機能低下等、さらには宇宙に行くことによって心臓にも大きな負担がかかってしまうとの事も問題になって来ます。
このような症状に侵されるとなれば、身体の弱い人や高齢者や子供など、誰もが宇宙旅行に行けるとは限らないことになるかも知れませんし、ましてや、長期間宇宙に滞在すれば、身体に起きる異変は深刻なモノとなるかも知れません。
究極の宇宙旅行~火星移住計画の危険性
「マーズワン」計画というものをご存じでしょうか?これはオランダの民間非営利団体が計画している、火星に人類を永住させる計画です。
概要は、火星へ移住したい希望者を募り、2020年代までに地球に帰還しない片道切符で火星に有人宇宙船を飛ばし火星に定住させる計画です。
「Image Credit:MarsOne計画(YouTUBEより)」
既に移住者は選考させているようで、実際に計画は進行しているとの事ですが、この計画は無謀と言われ実現するかどうかは大きな疑問が残るところです。
その疑問となる理由は、まだ火星への有人航行手段が確立されていない事にあり、仮に火星に行けたとしても、調査の不十分な未知の惑星で食料や水、酸素などの確保ができるのかが大きな問題になって来るでしょう。
さらには、大気や放射線、重力など、地球とはまったく違う環境下の火星で、人間が適応して生きていけるのか?他にも、様々な疑問や危険があり、まさに命がけのプロジェクトとも言われています。
ただ、「マーズワン」計画は別として、NASAも2030年代に火星有人探査を計画しており、こちらは実現性が高く、これにより火星が一気に身近な存在となって、いづれはこの惑星にも旅行が出来る時代になるかも知れません。
※ 追記:「マーズワン」計画を立ち上げたオランダの民間非営利団体が2019年破綻。計画が杜撰すぎると指摘されて来た事が大きな要因ではないか?と指摘されています。