太陽系の新惑星、いわゆる第9惑星(プラネット・ナイン)存在の可能性が示唆されて数年。
未だ、新惑星についての新しい情報は発表されていません。
こうなると、やっぱり新惑星なんて実在しないんじゃないか?と考えてしまいますが、しかし、多くの科学者たちは「プラネット・ナインは絶対にある!」と諦めていません。
では、その根拠と発見の可能性とはどうなのでしょうか?
太陽系外縁に存在すると提唱される9つ目の惑星
これまで何度も取り上げて来た、太陽系の外縁部にあるとされる未知の惑星「プラネット・ナイン」の存在の可能性についてですが、はじめてプラネット・ナインについて取り上げたのは2016年1月の事でした。それから5年以上経ちましたが、未だ発見に関する有力な情報はありません。
こうなると私たち素人は「やっぱりプラネット・ナインなんて実在しないんじゃ?!」なんて半ば諦めモードになったりもしますが、専門家たちは実在する事を信じ今も懸命に探し続けています。
つまり専門家たちが諦めず探し続けているという事は、確固たる証拠があるに他ならないという事なのですが、しかし、まだ見つかっていないという事はその捜索は困難を極めている事も事実のようです。
プラネット・ナインが実在するという証拠とは?
前記でプラネット・ナインが実在するという確固たる証拠と記述しましたが、それは観測結果による間接的な証拠との事で、その間接的な証拠とは、太陽系8番目の惑星である海王星の外側にある小惑星や氷等の小天体が密集する領域「エッジワース・カイパーベルト」に何等かの強い重力による影響を与えているような軌道を持つ複数の天体が見つかった事にあります。「Image Credit:COURTESY OF CALIFORNIA INSTITUTE OF TECHNOLOGY」
上図でもわかるように、奇妙な軌道を持つ6つの天体は全て同じ方向に軌道をとっており、その片寄った軌道の原因になったのが強い重力を持つプラネット・ナインではないか?と推測をするに至ったのです。
ちなみに、このような複数の天体の軌道が同じ方向に集中する確率は15,000分の1とのシュミレーション結果も出ており、偶然で特異な軌道になったとは考えにくいそうです。
プラネット・ナインに関する新情報
2022年初頭現在プラネット・ナインはまだ見つかっていませんが、新たな情報はいくつか挙がって来ています。その1つが、これまでの推測ではプラネット・ナインは太陽を1万8,500年の超長周期軌道で公転していると考えられて来ましたが、新たに軌道計算を行ったところその軌道は大幅に短縮され、何と1万年以上も短くなり約7,400年との結果に。
さらにプラネット・ナインの質量もこれまで地球の10倍程と考えられて来ましたが、再計算の結果約6倍ほどではないか?とこちらも縮小という事になったそうです。
「Image Credit:Wikipedia」
そして気になるのはプラネット・ナインとは、どういう惑星なのか?
これについては、再計算で導き出された質量で推測するしかなく、おそらくは地球のような氷に覆われた岩石惑星か?海王星のような氷やガスで出来た惑星ではないかとされています。
朗報!プラネット・ナインはもうすぐ見つかる?
プラネット・ナインの捜索にあたるアメリカのカリフォルニア工科大学の天文学者チームは、もし再計算した結果が正しければ地球にそれだけ近くに存在する事で明るく見え、より見つけやすいハズだとの見解を示しています。そうは行っても公転周期が7,000年以上もある天体です。これまでの人類の観測歴史の中でこれほどまで遠い太陽系天体を発見した例はありません。
しかし研究チームは「早ければ1~2年以内には発見できる。」と自信を示しているようです。
プラネット・ナインがもうすぐ見つかるという根拠とは?
プラネット・ナインがなかなか見つからない原因は、地球からあまんりにも遠く離れ過ぎた姿の見えない天体である事です。惑星は太陽のような自ら光を放つ恒星とは違い、月のように恒星の光を反射するしかない暗い天体です。
これが捜索を難航させている最大の原因で、さらに楕円軌道で太陽を公転していると考えられるプラネット・ナインが見つからないのは、現在楕円軌道の遠日点(最遠)の地点付近に位置しているからではないかとも考えられています。
ただ、研究者たちはプラネット・ナインの質量や距離を計算しただけではなく、おおまかな現在位置も割り出しているとの事。
それによると、現在のプラネット・ナインがさる場所は、星々が集まる明るい天の川の中ではないかと考えており、その中に紛れていて見つかりにくい状態ではないかとも推測されているのですが、だとしても最新の観測機器を使えば天の川に隠れたプラネット・ナインを探し出す事も可能と考えているそうです。
「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASAより)」
現在、プラネット・ナインを捜索している観測機器は日本のすばる望遠鏡やNASAのトランジット系外惑星探索衛星(TESS)。更には、先日打ち上げに成功した最新鋭の超高性能宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブにも大きな期待がかかります。