人類初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」が開催されるという事は、メディアでも大きく取り上げられていますのでご存じの方も多いのではないでしょうか?
と同時に、「月面探査レースっていったい何なの?」って疑問に思っている人多いかと思います。
この月面探査レースとは、どういう競技内容で目的やメリットは何なのでしょうか?
※ 補足:月面探査レースは、資金難や技術が追いつかず期限までに達成できるチームがない事を理由に「勝者なし」で終了しています。

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人類初の月面レースとは?

月面レースと言っても、人が月まで行ってレースをするワケではありません。
レースの主役は無人探査機で、このレースを行うのは純民間であり、国家レベルでレースに参加することは認められていません。

このレースの主催者は、非営利組織・XPRIZE財団が世界的なIT企業であるGoogleをスポンサーに迎え行うもので、賞金総額は何と!3,000万ドル(日本円で約30億円)という超ビッグレースだそうです。

「Copyright ©:Lunar XPRIZE All rights reserved.」
巨額を投じて行われる月面無人レースですが、目的はこれから訪れるであろう宇宙ビジネスに興味を持ってもらう事と、開発推進と市場拡大のためだという事です。
また、レースを民間が行うからには費用・コストも重要で、いかに低コストで、技術や効率を競うか?というのも、今後の宇宙ビジネスには欠かせない大きなポイントにもなるという事らしいです。

月面レースの内容

月面レースは、2017年末までに、参加チームが各々探査機を月まで送り込み、無人探査車(ローバー)を月面で走らせ、500メートル以上走行させることが最低条件。
そして、月面で走らせた探査車は、高解像度の静止画データを地球に送信することで、レースが成立します。
●参考サイト:【Google Lunar XPRIZE】
優勝賞金は2,000万ドル。探査車を着陸地点からより遠くに走らせ指定されたミッションをクリアし、より正確に地球に送信出来たチームが優勝となります。
ちなみに”指定されたミッション”とはどういう事なのか?それは、ボーナスミッションとして以下に反映されます。

「月面無人レース・ボーナスミッション」内容
  • ダイバーシティ賞(賞金:100万ドル)
    革新的で個性的な設計を行ったチームへ贈られる賞
  • レンジ・ボーナス(賞金:200万ドル)
    探査車を月面着陸地点から500メートル以上、走行出来たチームへのボーナス。
  • ヘリテージ・ボーナス(賞金:100万ドル)
    人類が残した、これまでの月面探査の痕跡を探す。
  • アポロ・ヘリテージ・ボーナス(賞金:400万ドル)
    アポロ計画で人類が残した、月面探査機器を探し撮影する。
  • サバイバル・ボーナス(賞金:200万ドル)
    寒暖差の大きい月面の過酷な昼夜を乗り切る。
  • ウォーター・ディテクション・ボーナス(賞金:400万ドル)
    月面で水、または水の痕跡を発見する。
といった具合に、かなり難しいミッションが設けられています。
果たして、月面探査の経験のない民間参加チームが、これらのミッションをクリアできるのでしょうか?
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日本からも参加するチーム「HAKUTO」

人類初の月面レース。
このイベントがメディアで大きく取り上げられた理由は、日本からも参加するチームがいる事。
その名前はチーム「HAKUTO」。
このチームは日本の企業がベースではなく、JAXAの宇宙開発に携わった科学者を中心に宇宙開発に志を持つ、様々な職業のメンバー(弁護士やWEBデザイナーなど)が集まって出来たチーム。

これに、日本の大手通信企業・KDDIが協賛、技術協力し、月面レースに挑戦します。

参考動画:【au×HAKUTO「僕らはみんな宇宙兄弟だ。」篇】


「Image Credit:PC Watch
このレースには、日本チームをはじめ、世界10カ国以上(アメリカ、カナダ、イタリア、インド他)16チームが参加しています。

どうやって月まで行くのか?

人類初の月面レースは、ロケットの打ち上げから月面探査まで全て民間で行わなくてはなりません。
そのためには、月面探査車を開発した日本のチームは、国立の機関であるJAXAに頼ってロケットを打ち上げることは出来ません。

日本チーム「HAKUTO」が、月面探査車を月まで運ぶ手段として使用するロケットは、アメリカのスペースX社が開発したロケット「ファルコン9」。
このロケットに、アメリカチームと相乗りで月まで運びます。

「Image Credit:Wikipedia」
なお、日本チームが探査車を着陸地点は、月面車を走行させやすい月の海(平地)の1つ「死の湖」。
日本チームが「死の湖」を着陸地点に選んだ理由は、ここには地下の溶岩トンネルにつながる「縦孔」が存在すると考えられていて、レースでその縦孔を発見出来れば、ボーナスミッションの1つ水の痕跡の発見にもつながると期待され、さらには、過酷な月面での放射線の影響を調べるためにも役立てることが出来ると考えられています。

日本チームの月面レースに暗雲?

日本の月面レース参加チーム「HAKUTO」が乗るロケットがスペースX社の「ファルコン9」。
この打ち上げは2017年中に予定されています。
しかし、このファルコン9は2016年9月1日に実験中に爆発事故を起こしており開発が大幅に遅れています。
そのため、このままだと日本チーム月面レースに参加出来ない可能性も?
現時点(2016年9月)では、レース参加出来るか?否か、については発表はされていませんが果たして間に合うのでしょうか?

そして、無事に月まで探査車を送り届けることが出来るのか?今後の動向に注目です。
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