7万年前の新生代の事を調べてみると、この頃に地球には現代人に近い人類が誕生し狩猟生活や衣服を着用するようになった時代だったと文献に書いてありました。

何故、7万年前の過去を調べたって?
実は天文史において、この時代の地球に人類を含む生物を滅亡寸前まで追い込む危機が訪れていたとの記録があったからです。
それは、ショルツ星という赤色矮星と褐色矮星の2つの恒星からなる連星系が太陽系に異常接近し、その影響で太陽系が掻き乱されていたと言うのです。
果たして、それはどういう事だったのか?またこの時の地球はどんな危機に陥っていたのか?などについて調べてみました。

Sponsored Link

7年前の地球ってどんな時代?

冒頭にも記載しましたが、7年前の人類は既に現代人に近い種族まで進化したホモ・サピエンスとなり、原始的な文化も形成していたと考えられており、彼らは人類が誕生したアフリカ大陸から世界中へ移動を始めようとしていた時期だったとされています。
また、絶滅したとされるネアンデルタール人も、まだこの時代には健在だったと地球史年表には記載されています。

「Image Credit:www.youtube.com
さらにこの頃、地球の平均気温が3度~3.5度ほど低下し、最終氷期と言われる氷河期に突入していたともあり、現生人類の人口は1万人以下になるほど激減し絶滅寸前まで追い込まれたともあります。
地球史によると、この平均気温の低下の原因は大規模な地殻変動による火山噴火で、噴煙が地球の大気を覆い気温が下がってしまったとありますが、実は地殻変動の原因をつくったのは、今回ご紹介するショルツ星が太陽系に接近したことにあるという説もあります。

7年前に飛来した「ショルツ星」とは?

7万年前にショルツ星という連星の恒星系が太陽系に異常接近したと、学術誌「Astrophysical Journal Letters」で発表されています。
その学術誌によると、ショルツ星は太陽よりも質量が小さく温度も低い赤色矮星と褐色矮星で構成される恒星系で、今でこそショルツ星は太陽系から約20光年離れた場所にありますが、7年前は太陽にニアミスするほど接近し、その距離は太陽から0.8光年まで接近し太陽系を横切っていったとされてています。

「Image Credit:地球から約20光年の距離にある現在のショルツ星(画像中央)(なよろ市天文台きたすばるTwitterより)」
0.8光年と言えばかなり離れているようにも感じますが、この距離は太陽系最外縁部のオールトの雲の領域まで侵入していたことになり、まさに太陽系をかすめていった事が想定できると考えられます。
●参考サイト:【universetoday.com】
Sponsored Link

「ショルツ星」接近で地球に何が起こったのか?

ショルツ星の大接近で、太陽系の内惑星系には直接の影響はなかったとされますが、彗星の巣とも言われるオールトの雲をショルツ星が通過したということで、オールトの雲が激しく掻き回された可能性があり、この影響でかなり多くの彗星など小天体が内惑星系に飛来したのでは?と推測されます。
7万年前ということで明確な記録はありませんが、地球に氷河期をもたらした原因は彗星が地上に落下し粉じんを大気圏まで巻き上げ、それが長い期間上空に留まり、結果として地表温度を下げてしまったことも考えられます。

「Image Credit:preart/イメージマート」

今後「ショルツ星」のような星が接近する可能性

太陽系は現在、天の川銀河のオリオン腕という銀河の外縁部にある、比較的星の密度が低い領域に位置している事がわかっています。
そのため、ショルツ星のような他の恒星が太陽系に接近する可能性は低いとされていますが、それでも数十万年後には接近するのではないか?と考えられています。
また、そんな危険をいち早く察知するため欧州宇宙機関(ESA)はガイア計画という機関を立ち上げ、太陽系周辺の約10億個の恒星を探査し星表という宇宙地図制作のミッションを行っています。

「Image Credit:ガイア宇宙望遠鏡(D.DUCROS/ESAより)」
ガイア計画で打ち上げたガイア宇宙望遠鏡は、地球の約150万キロ上空のL2ラグランジュ点に設置され、20等級までの暗い星まで探査することが出来る性能があると言います。
Sponsored Link