金星の大気(雲の中)に史上初の地球外生命体発見の可能性
金星と言えば、地球に一番近い惑星で、
夕方に明るく見える「宵の明星」や、
明け方に見える「明けの明星」としても有名な天体です。
でも、地球に近くても環境は全く別モノで、
地球のように生命が住めるような星ではないことは明かになっています。
そんな生物が住めないであろう金星に、もしかしたら(生命が)いるかも知れないという、にわかには信じられない研究結果が発表され話題を呼んでいます。
それって本当なのでしょうか?
もし、金星に生命が居るとしたらどこにいるのでしょうか?
生物が住めないと思われている金星とは?
その昔、アダムスキー型UFOに乗って金星人が地球にやって来たっていうニュースが世界中で話題になった事がありました。もちろん、常識のある人は金星人なんて信じないワケで、
その理由は、これまでの探査・研究で、金星には金星人どころか生物そのものが生息できる環境では無い事実が判明しているからです。
金星の環境とは?
金星は地球に最も近い惑星(近地点距離・約4,200万キロ)だけではなく、大きさ(地球の0.95倍)や、
質量(地球の0.82倍)も地球と良く似ていて、
地球と金星は”姉妹惑星”とも呼ばれています。

「画像参照:Wikipedia」
しかし、似ているのはそれだけで、
生命にとっては、地球が天国なら金星は地獄と言っても良い正反対の環境です。
そんな金星の環境を簡単に解説すると。
- 永久に太陽光が地表に届かない厚い大気層
金星の大気のほとんどは二酸化炭素で構成されていて、
大気中には硫酸の粒でできた厚い雲が広がっており、
その雲のおかげで太陽光が地表に届くことはありません。 - 地表は超高温・高圧の世界
二酸化炭素の大気が原因で温室効果が高まり、
その結果、
地表の温度は摂氏470度。
気圧も90気圧(水深900メートルに匹敵)になっています。 - 吹き荒れる猛烈な風
星の大気の上層にはスーパーローテーションと呼ばれる、
秒速100メートルにもなる猛烈な風が吹いています。 - 自転方向が反対?
地球では太陽は東から昇り西に沈んで行きます。
しかし、金星では厚い大気のせいで地表からは太陽は見えませんが、西から昇り東に沈んで行きます。
つまり、これは自転方向が逆という事ですが、
それは見かけ上の事で、実際は金星の自転軸が177度傾いているからであり、
そのため逆方向に自転しているように見えるからです。
また、自転スピードも非常に遅く金星の1日は約243日。
この自転スピードの遅さが、厚い大気層を造っている原因のひとつにもなっているようです。
このように、金星では太陽の光が閉ざされた超高温・高圧の世界。
この環境を調べるために、これまで何度も金星地表に無人探査機が送り込まれて来ましたが、
短時間での地表探査には成功したものの、すべての探査機は通常を途絶しています。
無人探査機でも耐えられないほどの金星の環境。
つまりそれは、生命はとても生存できないという事を意味しているのではないでしょうか。
金星に生命がいる可能性を示唆
無人探査機でさえ留まる事を拒絶する金星の過酷過ぎる自然環境。それ故に、誰もがこの惑星に生命などいるハズもないと思っていたのですが、
先日、オンライン科学誌「Astorobiology Magazine」に、
金星大気低層部にある二酸化硫黄の雲の中に生物がいる可能性がある。
という驚きの発表がありました。
この研究発表によると、日本のJAXAが打ち上げた金星探査機「あかつき」が撮影した金星の紫外線画像に黒いシミの部分が写っており、この部分に光吸収性を持った地球のバクテリアのような微生物が繁殖している可能性があると言います。

「画像参照:金星大気に見られる”黒いシミ”(NASAより)」
金星の地表や大気低中層部は非常に高温・高圧で、
とても生物が生息できる環境ではないのですが、
大気上層部の温度は摂氏0~60度、
気圧は0.4~2気圧ほど。
つまり、金星上層部の雲の中は、それほど高温でも高圧でもない、
生命にとっては、それほど過酷ではない領域が広がっている可能性があると指摘されています。
またこの領域には生命の基となる化合物の硫黄・酸性エアロゾル・二酸化炭素などが含まれているため、もしここに微生物がいるのではれば、二酸化炭素を食糧とし硫酸を排泄している可能性があり、このような代謝を持つ微生物は地球にも実在すると言います。
かつての金星は生命が生息できる環境だった?
現在の金星は過酷極まりない環境ですが、太古の昔の金星には、地表の温度は穏やかで液体の水が存在している環境が20億年以上も続いており、そこでは生命が進化をしていた可能性もあるとの事。
しかし、現在のように金星の環境が激変したため、
一部の微生物のみが生き残り、金星で唯一生命が生息できる雲の中に逃れたのかも知れないと考えられています。
実際地球でも、高度40キロもの高さで生きている微生物がいるらしく、
金星でも、同じような生物が限られた領域で群れを成していることで、黒いシミのように見えているのでは?と指摘しています。
史上初の地球外生命体発見は金星か?
この金星の黒いシミは微生物なのか?これが本当であれば、初めて地球外生命体の発見は金星になるかも知れません。
現在、地球外生命体生息の可能性が高いとされているのが、
木星の衛星・エウロパや土星の衛星・エンケラドスなのですが、
エウロパもエンケラドスも地球から遠く離れており、
さらには生命がいるかも知れないと考えられている場所が、厚い氷の下の海の中。
この場所に探査機を送るのは非常に困難を要する事は間違いなく、
地球に最も近い惑星である金星で、氷の下を探査するよりは簡単な大気中であれば、金星が地球外生命体発見の最有力地になるでしょう。
しかも、既にNASAは金星の大気探査を計画中(金星大気機動プラットフォーム)で、
2020年代にも、金星の大気中をグライダーのように飛ぶ探査機(VAMP)を打ち上げると言います。

「画像参照:NORTHROP GRUMMAN
この計画中のVAMPなら、
あまり金星の過酷な環境に影響されることなく、
約1年間大気中を飛びながら探査を続ける事ができるらしく。
その際に微生物のサンプルを採取出来れば、
「史上初の地球外生命体発見!」として大ニュースとなり、
金星が注目を浴びることは間違いないでしょう。
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