観測技術の発展により、最近になって太陽系外惑星が次々に発見されて来ており、その数は2022年9月時点で5,150個を超え、これからもまだまだたくさん見つかっていく事が期待されます。
そんな中、やはり気になるのは、見つかった系外惑星にどれくらい地球に似た惑星があるのか?という事であり、そして地球似の惑星には生命が居るのか?とういう事もありますが、残念ながら、系外惑星は数多く見つかっているものの生命がいると確信の持てる惑星は判っていません。

しかも最近の調査では、生命が居住出来る惑星はかなりの条件が揃わないと難しいかも?との見解も出ています。

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ハビタブルゾーン圏内にある惑星に生命がいるとは限らない

これまで5,000個以上見つかって来た太陽系外惑星ですが、そのほとんどは木星や土星等のような巨大なガス惑星でその惑星に生命がいる等とは考えられないでしょう。
そんな中、極少数ではありますが地球サイズでおそらく岩石惑星であろう天体も見つかっており、さらには水が液体の状態で留まる事が出来る適温の環境・ハビタブルゾーンに位置する惑星も見つかっています。
つまり、太陽系でいうところの、太陽と地球の位置関係(熱過ぎもせず寒過ぎもしない領域)がまさにハビタブルゾーンに当たるという事です。

「Image Credit:高校資格.com」
当然ながら、これまで見つかったハビタブルゾーン圏内にある系外惑星にも地球のような生命に溢れた環境が期待されますが、必ずしもハビタブルゾーン惑星=生命のいる惑星というワケには行かないと言います。
何故なら、様々な条件が揃わないと生命はおろかその惑星には大気や水さえも存在しえないと考えられており、その点で考えると私たちの住む地球はいくつもの条件が奇跡的に揃っているから生命に溢れていると言えます。

ハビタブルゾーン圏内の惑星に生命が育つ条件とは?

地球は太陽系のハビタブルゾーンに位置していますが、いくらハビタブルゾーンにあるからといっても、必ずしもそれだけで地球が生命に溢れる星になったワケではなく、星が生命に育まれる環境になるまで、そこには様々な奇跡とも言える条件が重なってこそ今の地球が誕生したと言えます。

そんなワケでここでは、ハビタブルゾーンに生命が育つ条件とは何なのか?地球がそうなった経緯からいくつか挙げてみたいと思います。
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星自体の質量や大きさも重要になって来る

まず、星に生命が活動出来る陸地や海が無いといけません。
それは、木星や土星のような陸地が存在しないガス惑星ではなく、地球や火星といった岩石惑星である事が最低限必要と言えるでしょう。
但し、ただ岩石惑星であればいいというワケではなく、大気や水を表面に留めておけるだけの質量がある惑星である事は必須条件になり、また、ある程度質量が無ければ星の内部が冷えてしまい生命維持に必要な磁場も発生しづらくなり、星の質量がどれだけ重要か?を具体的に挙げると地球と火星の関係がわかりやすく説明できます。

ご承知のとおり地球には、太陽からやって来る強い放射線を防いでくれる強い磁場がありますが、火星にはほとんど磁場が存在せず、そのため火星の地表には有害な放射線が容赦なく降り注いでいます。
その大きな要因となっているのが、地球の10分の1程しかない火星の質量にあると考えられています。

「Image Credit:平塚市博物館」
これにより、火星の内部では磁場が発生するほどの熱がつくられていない事が推測されます。

地殻が厚い惑星では表面に水が残らない?!

これは最近の研究でわかって来た事ですが、地殻、つまり星表面の岩石が厚いとせっかく水があっても地殻に浸み込んでしまい、星の内部に取り込まれ表面には残らない可能性があると言います。

地球の地殻の厚さは平均で約30キロ。

「Image Credit:Wikipedia」
地球の半径は約6,300キロですから、この地殻の厚さはかなり薄いと言えますが、この薄さが丁度良く、水などの揮発性物質が内部に浸み込んでも全ては浸み込まず、さらには火山活動等によって、再び地表に放出もされており循環も行われています。

ほど良い回転の自転速度

地球の自転、つまりグルりと1回転するのに24時間かかります。
これが意味する事は生命にとってはとても重要で、回転によって星の表面が温まり過ぎもせず冷え過ぎもしませんが、この事により大気の循環も生まれ生命が暮らしやすい温暖な環境が整う事になります。
しかし、星の全てが地球のような自転を持っているとは限らず、多くは主星~つまり太陽(恒星)に対し自転の同期現象である潮汐ロックが起こっています。
潮汐ロックとは、主星の強い潮汐力に共鳴され星の重心が主星に寄ってしまう事で、常に一方方向を主星側に向けていまっているという現象が起こります。

「Image Credit:Wikipedia」
この潮汐ロックは月にも起こっており、月が常に同じ方向を地球に向けているのがそれです。
もし、潮汐ロックの惑星に大気や水があったとしても、半分は灼熱でもう半分は極寒の環境になってしまい、そこで生命が生きて行くにはかなり厳しい環境になってしまう事が考えられます。
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巨大な衛星を持つ惑星

地球には、大きさが4分の1で質量が81分の1の衛星・月があります。
惑星・地球とその衛星・月の関係。それは太陽系のどこを探しても比率にしてこれだけ巨大な衛星を持つ惑星は他に存在しません。

「Image Credit:NASA」
大きな衛星を持つ地球は、その巨大が故に影響力は絶大で月の潮汐力によって地球は様々な恩恵を受けています。
例えば、潮の満ち引き。これは月の潮汐力によるもので、月が海の水を撹拌してくれる事で豊かな海が維持出来るようになっています。
また、地球に四季があるのも月のお陰であり、地球の地軸は太陽に対する公転軸より約23.4度傾いており、これが地球が公転する事によって太陽に向く角度が少しずつ傾き春夏秋冬の季節を演出してくれます。
では、地軸の傾きと月にどのような関係があるのでしょうか?
それは、地球と月が引き合う重力関係が無かった場合、地球の地軸の傾きは安定せずふらついてしまいます。
もし地軸が安定しなければ、大気バランスが崩れ、地球の環境は大きく変わってしまっていたかも知れません。

ハビタブルゾーンは主星と惑星の距離関係に影響

ここまでハビタブルゾーン圏内にある惑星自体の環境について触れて来ましたが、生命維持にとって根本的に影響が出てしまうのが、主星(太陽)と惑星の位置関係にあるかも知れません。
冒頭でこれまで4,000個以上の系外惑星が発見されたとお話ししましたが、そのうちのハビタブル惑星のほとんどは、私たちの太陽よりも遥かに小さい恒星である赤色矮星を公転する惑星たちです。
赤色矮星は質量も小さく温度も低いため、ハビタブルゾーンはかなり主星に近い距離にあり、つまり、主星と惑星の距離が近いと惑星は主星の影響を受けやすいという事になってしまいます。
例えば、距離が近いことによって起きる可能性が高い潮汐ロック。
惑星の半分は常に太陽の方向に向いていますので、かなり過酷な環境になってしまうかも知れません。

「Image Credit:NASA, ESA and D. Player」
また、これまでの観測によって赤色矮星の多くはかなり活発な活動をしている事がわかって来ており、これにより恒星の表面爆発である太陽フレアが頻繁に起こっている事も確認されています。
この時、主星と近い距離にあるハビタブル惑星は太陽フレアの影響をモロに受けてしまうでしょう。
そうなった場合、強烈な放射線を浴びるのはもちろんの事、惑星の大気をも剝ぎ取られてしまう可能性があるでしょう。
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