観測技術の進歩により次々に太陽系外惑星が発見され、その中には地球に似た惑星もいくつか見つかっています。
しかし、発見された太陽系外惑星がある場所は遠く、そこに実際に生命がいるのか?の確認方法や、それを確かめるための術が今の人類に無いのが現状です。
ですがいつかは、その惑星に探査に行くことが出来るかも知れませんし、さらには、そこに住むことが出来るとわかったら人類は移住する可能性が無いとも言い切れないでしょう。

とは言っても、これからの時代にそんな夢のような可能性ってあるのでしょうか?

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地球は孤独な存在じゃなかった?!

生命に溢れ、人類のような知的生命体が存在し文明を築いているような天体は、宇宙広しとは言えど地球だけなのではないか?と、これまでそう思われていましたが、もしかしたらそうではないかもと、近年そんな可能性を思わせる天体が次々と発見されています。

例えば、太陽系に最も近い恒星(4.2光年)に地球型の惑星が発見されたり、また、30光年離れた恒星に7つの地球型惑星を持つ恒星が発見されたり。

「Image Credit:30光年離れた赤色矮星TRAPPIST-1に見つかった7つの地球型惑星(NASA/JPL)」
さらには、地球にとても良く似た環境を持つ惑星も発見されたりと、いくつも生命生存の可能性がある星が見つかっています。
しかし、これはあくまでも可能性であって生命が居るという確実な証拠はなく、発見されたこれらの惑星は太陽系に近いとは言っても、光の速さで何年もかかる場所にあり、現時点での人類の観測技術ではその天体に生命が居るかどうかを見極める事が非常に困難だからです。
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どうやって太陽系外惑星を見つけたのか?

20世紀末まで、人類はただの1つも太陽系外に惑星の存在を確認することが出来ませんでした。
その理由は、惑星が恒星のように自ら光を放たない事で、いくら高性能な望遠鏡を使っても、真っ暗な宇宙空間に自分の存在を示してくれない小さな天体を見つけることなど出来なかったからです。
しかし、現在(2022年)では数千個もの惑星が太陽系外で発見されています。

「Image Credit:これまで発見された主な太陽系外天体の想像図(Wikipedia)」
では何故、わずか20年ほどの短期間でそれだけの惑星を見つけることが出来たのでしょうか?
その理由は、大きく分けて2つあり、1つはNASAのハッブル宇宙望遠鏡に代表する宇宙空間に設置された宇宙望遠鏡の存在が大きく貢献しており、中でもNASAのケプラー宇宙望遠鏡は、地球型の太陽系外惑星探査に特化した望遠鏡で、このケプラー宇宙望遠鏡の活躍で多くの地球型惑星が発見されています。

「Image Credit:ケプラー宇宙望遠鏡(NASAより)」
そして2つ目が「トランジット法」という観測方法の確立でした。

トランジット法とは?

「トランジット法」という観測方法が確立されたのは1999年。まさに20世紀の終わりになってからでした。
それまで系外惑星探査に使っていた主な観測方法は、恒星の色の変化やゆらぎを観測して惑星を探そうという「ドップラーシフト法」というモノでした。
◆参考動画:【ドップラーシフト法の解説】

「Copyright ©:European Southern Observatory (ESO) All rights reserved.」
しかし、この方法では系外惑星存在の決定的な証拠は見つかりにくく、見つかったとしても地球型惑星のような小さな天体の発見はあまり無く、主に木星のような巨大な惑星の発見に使われていました。

そこで新たな確立されたのが「トランジット法」。
この観測方法は、対象となる恒星の前を他の天体(惑星)が横切ると、その惑星による影で恒星の光が遮られて弱くなるという、減光現象を観測する事で惑星を検出するという方法です。
◆参考動画:【トランジット法の解説】

「Copyright ©:ESA Science & Technology All rights reserved.」
望遠鏡の精度向上と、このトランジット法により一気に観測の効率が上がり系外惑星が次々に発見されています。

太陽系外惑星にどうやって生命の存在を確認するのか?

「トランジット法」などの観測技術革新で、次々に見つかった太陽系外の地球型惑星ですが、その中には生命生存に適しているのでは?と考えられる惑星もいくつか見つかっています。
ただ、生命の可能性と期待されても、それらの天体は地球からはあまりにも遠過ぎ生命生存の確証を得るには非常に困難で、高性能な宇宙望遠鏡などでさえそれを確認することが出来ません。

そうなると、さらに高性能な望遠鏡の開発が急がれるワケで、今、期待されているのが次世代型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」がその一つです。

この宇宙望遠鏡の打ち上げは2021年末。打ち上げ成功後、運用が軌道に乗れば生命存在の可能性のある惑星の大気の組成や地表の状態を調べることが可能になり、何らかの結果が期待できるものと思われます。

「Image Credit:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Wikipediaより)」
さらに、現在構想の段階にある近未来型の望遠鏡で「重力レンズ望遠鏡」というモノが考えられています。
この原理は、巨大な重力を持つ物体が空間のゆがみ起こす重力レンズ効果を利用するというモノであり、巨大な重力というのは太陽等の巨大な重力を持つ天体の事で、天体の重力でゆがみが生じた空間をレンズとして利用することが出来れば、数十光年離れた惑星の地表まで詳しく見ることが出来ると考えられていますが、残念ながら現在の観測技術ではまだこの望遠鏡の実現は難しいようです。

生命がいる太陽系外惑星に行く方法はあるのか?

今後、観測技術が更に向上し太陽系外惑星に生命の存在が確認され、人類が移住出来るような惑星が見つかったとし、そんな惑星に人類は行くことが出来るのでしょうか?

例えば、最近話題となった7つの地球型惑星が見つかった「トラピスト-1」という赤色矮星までの距離は約40光年あり、この距離をキロメートルに置き換えると約370兆キロと途方もない距離になってしまいます。
そんな途方もない距離を人類が移動するとなると、いったいどれくらいかかるのでしょうか?

現時点で、人類が造り出した探査機で最も速いのが1977年に打ち上げられたボイジャー1号だと言われており、その速度は秒速約17キロもあると言いますが、そんなボイジャー1号でさえ、40年以上かけて約200億キロしか進んでいませんし、仮に、この速さで40光年先のトラピスト-1に行こうとすると、76万年以上はかかるものと想定され、現在の科学力ではどうあがいても無理ということになるのです。

しかし、現時点では無理でも今後宇宙空間を高速で移動する推進方法の構想はいくつか出ています。
例えば、高速、低コストで推進する「EMドライブ」や、太陽の放射圧を利用して推進する「ソーラーセイル」。レーザー光を照射して進む「ブレークスルー・スターショット」などが構想段階ですが計画されています。

この中で最も現実的なのが「ブレークスルー・スターショット」。
この推進方法は、実際にスティーブン・ホーキング博士らが大々的に発表しており、実現に向けて計画中だと言います。

「Copyright ©:Breakthrough All rights reserved.」
ちなみに、この「ブレークスルー・スターショット」で宇宙船を航行させると、1光年の距離を5年ほどで進み、もしこの方法が実現した場合、人類の探査で移動可能なのが地球に最も近い距離(約4光年)の地球型惑星「プロキシマb」まで約20年で到達可能だと言います。

また、他にもこの航法を使った場合、14光年先に見つかった「ウルフ1061c」まで約70年、「トラピスト-1」までは200年近くかかることになります。
近い場所にある地球型惑星でも、行くのこれだけの日数がかかるワケですから、実際に人を乗せた宇宙船が探査に行くか?もしくは移住となると、これもまた無理があるのかも知れませんね?
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