宇宙が誕生して約138億年。今もなお、宇宙は成長し果てしなく広がり続けています。
しかし、そんな宇宙の寿命も無限ではなく、いつかは終わり~終焉の時がやって来るのではと考えられています。
宇宙の終わりはいつやって来るのか?
そして、終焉を迎えた時どうなるのか?
科学者たちは「宇宙の終わり」について真剣に考え、そしてその答えを予測として導き出しています。
宇宙はいつどのようにはじまったのか?
宇宙が誕生したのは今から約138億年前だとされています。その始まりは非常に小さく、針の先ほどの小さな超高温・超高密度の超エネルギー体の「ビッグバン」という急膨張から誕生したとされています。
現在においては果てしなく広がる宇宙の原点が、針の先ほどのエネルギー体だったとは想像もできませんが、そもそもその突拍子もないような理論はどのようにして考え出されたのでしょうか?
「Image Credit:iStock」
ビッグバンという宇宙の急膨張の答えだとされるのが「インフレーション理論」です。
この理論から導き出された答えは、宇宙が始まってから10/-36秒後から10/-34秒後という一瞬の時間に極小だった宇宙が急膨張し、その時に超高温・超高密度エネルギーが一気に放出されビッグバンが起こったと提唱されています。
「Image Credit:東京大学」
この急膨張を「インフレーション」と呼び、この時の膨張速度は光の速さを遥かに上回り、一瞬で太陽系の大きさを超える程の急激なものだったと考えられています。
なお、インフレーションは約38万年間続いたとされ、その後膨張速度が緩やかになり徐々に温度も下がっていったのでは?と考えられています。
人類に宇宙はどこまで見えているのか?
現在、宇宙は果てしなく広がっていますが、インフレーション理論が正しければそれは無限ではなく有限の広さという事になるのですが、とは言っても私たち人類では宇宙全体を見渡す事は不可能で、今現在確認出来ている最遠の天体は「うしかい座」方向に見つかった「EGS77」と呼ばれる原始宇宙で誕生したとされる銀河群です。「Image Credit:観測史上最遠の天体「EGS77」のイメージイラスト(NASA, ESA and V. Tilvi (ASU))」
この銀河群は宇宙誕生後、わずか6億8,000万年の時代に誕生したモノと推定されており、特徴的なのは通常の銀河とは異なり原始の宇宙では中性水素ガスで満たされており、それが紫外線によって照らされ泡状に形成されている様子の光が現在の地球まで届いていると考えられています。
宇宙もやがては終焉を迎える!?
ビッグバン以降、今も広がり続けている宇宙ですが、そんな宇宙もいつかは終焉を迎えると考えられており、その終焉は私たち人類には想像もできないほど遥か遠い未来になるでしょうが、それでも宇宙の歴史もいつかは終わりを告げる事になるとされています。では宇宙の終焉とはどんなモノなのでしょうか?
これについてアメリカの科学者が予測したのが、壮大な宇宙にしては寂しい終わり方になるのでは?というモノで、遥か遠い未来、眩く輝く星々は全て燃え尽きて光を失っていき、ブラックホールでさえも蒸発してしまいます。つまり、光も熱も失った宇宙は暗黒の空間になってしまい、少しずつそして静かにエネルギーも失われて行くと考えられています。
途方もない年月を経て宇宙は「熱的死」という状態を迎えると言います。
ただこの時、星の燃えカスである天体は多く残ると考えておりこの燃えカスが「黒色矮星」です。
「Image Credit:黒色矮星の想像図(NASA / JPL-Caltech)」
黒色矮星は長い年月をかけて造られ、また電波による観測すらできないほど冷え切っているため人類の観測技術では発見不可能であり、それどころか黒色矮星自体、今の宇宙では誕生していないかも知れないという言わば仮説上の天体です。
星が冷えて固まった黒色矮星ですが、その内部では量子トンネル効果で、少しずつゆっくりと核融合が起き続けていると考えられています。
そして核融合反応で生成される最後の物質は鉄。
内部に鉄が蓄積されると、冷えて固まった黒色矮星であっても重力崩壊の大爆発が起こり超新星になるとされています。
この黒色矮星による超新星爆発が起こる第一号は計算上、兆を100回ほど掛けたほど想像も出来ない超超遥か遠い未来だとされ、これが宇宙の終焉の始まりでもあるとされます。
これにより宇宙空間に燃えカスとして残った黒色矮星が次々と爆発し、最期になるのが10の3万2,000乗年後の未来だといいます。
ちなみに黒色矮星の全てが爆発してしまうのではなく、質量の大きな黒色矮星だけで星全体の1%ほどに過ぎないと言います。
そして最期の黒色矮星爆発の後の宇宙は文字通り暗黒の世界となり、その時の宇宙は物理的にも想像できないほど巨大な空間が残ってしまうのでは?と考えられています。