現在、火星はまだまだ探査が不十分で未知の惑星であると同時に、人類がまだ直接足を踏み入れていない未開の地です。
そんな未開の地に、人類は2030年代前半に有人火星探査計画を立てており、さらには、火星軌道上に宇宙基地(宇宙ステーション)を建設する計画があるといいます。
この計画とは、どのようなモノなのでしょうか?そして、本当に2030年代までに実現の可能性はあるのでしょうか。
現時点での人類の宇宙進出
2020年代前半の現在までにおいて、人類が他の天体に人を送り込んでいるのは月だけです。それは約50年前の事で、有名なアメリカのアポロ計画だということは誰もがご存じのことではないでしょうか。
「Image Credit:Wikipedia」
しかし、その後の有人飛行は地球の低軌道のみで行われ、火星はおろか月にさえ人を送り込んではいませんでした。
現時点で有人での宇宙活動は、国際宇宙ステーション(ISS)、もしくは中国が単独で地球低軌道を周回しているのみになるようです。
「Image Credit:Wikipedia」
火星軌道宇宙ステーション建設の概要
2030年代前半にNASAが有人火星飛行を計画しています。しかし、民間のロッキード・マーチン社は、それより前の2028年には、火星衛星軌道上に宇宙基地(宇宙ステーション)を建設することを計画しています。
ちなみに、ロッキード・マーチン社とは、アメリカの航空機・宇宙船の開発製造会社で、航空機メーカーのロッキード社とマーティン・マリエッタ社が、1995年に合併して出来た巨大企業です。
ウィキペディアで調べると、このロッキード・マーチン社の実績は、最新鋭ステルス戦闘機F-22やF-35の開発・製造を行っていることですので、民間とは言えNASAに匹敵する高度な技術力を持っているものと思われます。
そんなロッキード・マーチン社が計画するのは、火星を周回する軌道上に有人の宇宙基地建設です。
「Image Credit:Lockheed Martin」
この火星軌道宇宙基地は「Mars Base Camp」というモノで、ISSのような宇宙ステーションとは違い推進ノズルも搭載しており、これを使うことで自在に移動することも可能との事のようです。
なお、「Mars Base Camp」の建設目的は、今後確実にやってくるだろう火星の調査開拓を円滑に行うためのもので、火星に着陸する宇宙船の中継基地にもなるとのことです。
2028年までに火星軌道宇宙ステーション建設は可能なのか?
ここからは個人的な考えにもなるのですが、はたして2028年までに、未だ未開拓で未知の惑星に宇宙基地など建設出来るのでしょうか?2028年の火星基地の実現。そこには、いくつかの疑問が残ります。
2028年、火星宇宙基地実現への疑問点
- 実績の無い民間企業に出来るのか?
巨大な航空機メーカーでNASAに技術提供はあるにしても、宇宙開発の実績はほとんどなく単独で火星に宇宙基地を造れるのか? - 莫大な予算はどうする?
宇宙開発には、国家予算にも匹敵する莫大な費用がかかります。ましてや遠い火星まで宇宙基地を建設する資材を送るとなると、途方も無い費用がかかると思われます。
これを民間レベルでどのように確保するのか? - 火星まで安全に人を送れるのか?
過去に月面に人を送ったとは言え、地球から月までの距離は約40万キロほどです。
一方、地球から火星までは最短でも約6,000万キロも離れた場所にある惑星です。
はたして、人を乗せた宇宙船を地球の重力圏から離脱させ、遥か遠くの火星まで安全に行けるのか?また、火星までの道のりは半年以上かかるとされています。その間激しい宇宙線に晒される危険性もあり、さらに、狭い宇宙船の中で宇宙飛行士は長期間耐えられるのでしょうか? - そもそも2028年の火星飛行計画は早すぎないか?
かつて人類は、初の有人宇宙飛行から10年足らずで月面に人を送りました。
それは、国家の威信を賭けたプロジェクトで何度もテストを繰り返し、莫大なお金も使って成し得た偉業です。
当時の技術レベルとは違い、現在は非常に進歩した技術があるとしても火星に人を安全に送るとなると何度もテストを行い、相当の時間をかける必要があるかと思います。それには、2028年の実現というのは、あまりにも早すぎるのでは?
これから始まる熾烈な火星開発競争
火星は、地球からも近く人類が最も足を踏み得入れやすい惑星であることは間違いありません。そんな火星には、多くの開拓が計画されています。
例えば、それはマーズワンに代表されるような火星移住計画。
※ 補足説明:マーズワン計画は、2019年に出資企業の倒産により破綻したとの事です。
さらには、火星を地球のような星に改造する大プロジェクト・テラフォームの構想。
また、地球の爆発的な人口増加をどう解決するのかについても、火星の存在がその解決策のひとつになるとも考えられ、地球の資源枯渇に対応するための、火星に眠る手つかずの資源利用も考えられています。
つまり、火星を開拓することが出来れば、人類の発展に大きく役立てることが出来るワケです。
そのような未来を見据えて、各国家はもとより民間企業も今後火星開拓にチカラを入れていくことが考えられます。
しかし、そこには問題も多く火星開拓にかかる途方も無く莫大な資金をどう調達するか?
また、地球の重力圏を離れるとこによって待ちうける未知の危険をどう対処するか?
さらには、火星を開拓するには、今の人類にはまだまだ技術力不足が否めません。
他、いくつもある問題点を解決してこそ火星開拓に着手出来るワケであって、2028年の火星宇宙基地建設は、実現可能なのか?
疑問は残りますが、計画を発表した以上、実現に対する明確な自信があるものと思えます。
ただ、他のネット記事にも記載されていましたが、民間会社だけでこのプロジェクトを実現する事は困難で、経験と実績の豊富なNASAの協力も必要不可欠だと伝えられています。