太陽系は、太陽と8つの惑星やそれを取り巻く衛星、また冥王星のような準惑星、小惑星や彗星など無数の小天体で構成されています。
しかし、時として小惑星等の小天体は地球に牙を向け最接近し、衝突することもあります。
その事実により、これまで地球は何度も危機的状況を迎えたり、また大きく環境を変えられてしまったりしていた歴史があります。
では、このような地球に危険を及ぼす小惑星たちはいったいどこからやって来るのでしょうか?

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小惑星とはどんな天体を指す?

太陽を公転する惑星や準惑星以外の天体で、彗星のようにガスや塵を放出しない小天体を総称して小惑星と呼びます。

「Image Credit:天文学辞典」
小惑星の大きさも形も様々で、数メートル程度から数百キロまでがそれに該当し、形も歪な岩石状のモノから月のように球体をしている天体までありますが、あまり大きくなり過ぎると準惑星に分類されるようになります。
例えば、火星と木星の間の小惑星帯にある天体・ケレスは直径が900キロメートル以上ありますが、かつては小惑星と呼ばれていたものの現在では準惑星に分類されています。

「Image Credit:準惑星ケレス(Wikipediaより)」

地球に危険を及ぼす小惑星

小惑星の中には、地球の周りを漂う地球近傍小惑星が多数存在します。
これらの小惑星は時として地球に最接近し、あわや衝突するのでは?とヒヤリとするモノも少なくなく、あまり話題にはならないケースがほとんどですが、毎年のように小惑星が地球にニアミスを起こしています。
しかし、ニアミスならまだ良いのですが、中には地球の重力に取り込まれ落下して来る小惑星もあり、記憶に新しいのが2013年にロシアのチェリャビンスク州の上空に落下して来た大火球「チェリャビンスク隕石」。
これもまた、元は直径約17メートルの小惑星であったと伝えられています。

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さらには、約67,000万年前。恐竜を絶滅させたと言われる地球の大異変の原因を作ったのも、直径約10キロメートルの小惑星が衝突したという有力な説も残っています。
●参考記事:【恐竜絶滅の原因を裏付ける巨大隕石地球衝突の証拠】
では、このような小惑星はいったいどこからやって来るのか?その起源となる場所は大きく分けて3カ所あると考えられています。
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①地球に最も近い小惑星帯・アステロイドベルト

火星と木星の間の軌道に、環を描くように分布する無数の小惑星帯・アステロイドベルトを第1の起源とする説があります。
アステロイドベルトは、小惑星帯としては最も地球に近い軌道上に位置するため、大半の地球近傍小惑星がここからやって来ると考えられています。

「Image Credit:Wikipedia」
現在この領域には、木星軌道まで達する位置にあるトロイヤ群も含め、大小様々な小惑星が数百万個存在すると推定されていて、その中で人類が発見・確認しているのは約25万個(2021年現在)に過ぎません。
ちなみに、現在は準惑星となったケレスもこのアステロイドベルトの中にあり、他にも数百キロもの大きさにも及ぶ小惑星がいくつも確認されています。
なお、これらの小惑星帯が何故存在するのか?については諸説ありましたが、現在では木星の巨大な重力の影響により惑星になり切れなかった天体が、この軌道上に無数に分布していると考えられています。

②危険な小天体が多い?ケンタウルス族

ケンタウルス族という小惑星の集合体は木星から天王星、海王星にかけて広く分布しています。

「Image Credit:緑色の点がケンタウルス族。中央の黄色が太陽、Jが木星、Sが土星、Uが天王星、Nが海王星(Wikipediaより)」
これらの小惑星群の特徴は、氷に覆われた天体が多く中には彗星もかなり存在するのでは?と考えられています。
このケンタウルス族に属する小惑星たちは、地球に影響を及ぼすような危険度の高い天体が多いと推測され、その原因は、周りに存在する木星など巨大な惑星によって軌道が不安定で、惑星の重力の作用によって、この領域から弾き出される小惑星も少なくないと考えられています。
もし、弾き出された小惑星が地球のある内惑星系へ落ち込んで来た場合、地球に衝突する危険性のある天体に変貌するのではないか?と危惧されています。

③太陽系外縁天体のエッジワース・カイパーベルト

エッジワース・カイパーベルトは太陽系外縁部に分布する小惑星帯。
現在太陽系で一番外側に位置する惑星・海王星の外側に存在する領域で、冥王星もここに属する天体だと考えられています。

「Image Credit:自然科学研究機構 国立天文台
このエッジワース・カイパーベルトの特徴は、非常に広い範囲に分布するという事。
それは太陽系最外縁部に位置すると考えられているオールトの雲まで続いていると考えられていて、ここにはまだ人類が発見し得ていない天体も多く存在していて、最近では地球の10倍以上の質量にも匹敵する幻の第9番目の惑星が、エッジワース・カイパーベルト内に存在する可能性が高いことも指摘されています。
このように太陽系内には無数の小惑星が漂っていて、今後これらの天体が地球に最接近し衝突する危険が無いとは言えません。
それら危険を及ぼす天体がないか?天文学者たちは監視、追跡してはいますが、もしそれが発見されたとしても現在の人類の技術力では回避する術は持っていないのが現状です。
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