もしかしたら2024年の夏の終わり頃から一気に注目度が上昇し、話題も大きくなっていくと予想される天体ショーがあります。
それは、久しぶりに肉眼でもハッキリ見える彗星がやって来るという事。
2023年1月に発見された「紫金山アトラス彗星」。
この彗星、順調に明るさを増し地球に接近すれば10月中旬頃には見頃を迎えそうなのです。

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久々にやって来る大彗星?

以前もコチラで紹介した天体ショー のニュース。
遡る事2023年1月9日。中国の紫金山天文台と南アフリカにあるATLAS望遠鏡がほぼ同時に発見した新彗星C/2023A3。発見時は、地球から約6.5天文単位(約9億7,500万キロ)離れた位置にあった彗星は、その後、紫金山・アトラス彗星(ツチンシャン・アトラス彗星)と名付けられました。
この彗星が通る今後の軌道を計算したところ、2024年9月後半に水星軌道に近い位置まで太陽に接近(近日点)を迎え、その後は太陽から離れて行き、10月中旬頃には地球に最も接近(近地点)を通過すると見られています。


「Copyrightc:YouTube NORI PHOTO All rights reserved.」
今のところの予想では、彗星が近地点を通過する頃の明るさは0等~-1等級くらいで、普段私たちが星空を見上げて見る事が出来る1等星ほどの明るさになるのでは?と期待されていますが、一部ではもっと明るい金星程(-5等級)になるのでは?と言われています。
もし、紫金山・アトラス彗星が期待どおりの明るさまで光度を増す事が出来たら、2007年に到来したマクノート彗星(最大光度-3等級)以来という事になります。
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紫金山アトラス彗星の見頃はいつ?

では、紫金山・アトラス彗星を実際に観測するとしたら見頃となるのはいつになるのでしょうか?
基本的に彗星を観測するチャンスは2回。1回目は太陽に接近時(近日点)の頃。太陽に最接近した彗星は、苛烈な太陽熱に晒され一気にガスや塵といった揮発性物質を放出する事で、見た目上で大きく膨れ上がります。
ただこの時は太陽に近い位置にあるため、地球からは見えにくく明け方東の空の低空に、長く尾を引いた彗星が姿を現すでしょう。
そのため、観測する場合は、東の空が開けている場所、すなわち太平洋側の広く水平線が見渡せる場所がベストなポジショニングになると思います。

「Image Credit:夜明け前に姿を現した「マックノート彗星」(Wikipediaより)」
なお、紫金山・アトラス彗星が近日点を迎えるのは2024年9月28日(日本時間)だとされていますので、この日の前後が観測チャンスだと思われます。

2回目の観測チャンスは、地球に接近する近地点前後の10月中旬以降。具体的な日にちは10月10日頃~10月下旬にかけてで、10月20日前後は最も光度を増すモノと思われます。
そして気になるのは見える位置と時間帯。近地点になると西の空日の入り後からの時間帯で、紫金山・アトラス彗星が期待どおりの光度になってくれれば、無理に探さなくても彗星最大の特徴でもある長い尾を引いた壮大な姿を目撃する事が出来るハズです。

「Image Credit:ヘール・ポップ彗星(1997年)(Wikipediaより)」
あくまでも予想ですが、この時の最大光度は-1等級程。この光度だと上画像↑↑にあるようなヘール・ポップ彗星のような姿を見る事は出来ませんが、もし、一部の専門家が予測している”金星並み”の-5等級の明るさまで光度が増せば壮大な彗星の姿を見る事が出来るのではないでしょうか。
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大彗星にはならず期待外れの可能性も?!

2024年秋にやって来る、紫金山・アトラス彗星。ここまで観測予想をお伝えした事で期待し、その日が来るのを心待ちにしている人もいるかと思います。
しかし、彗星は観測予想が難しい天体である事も事実。期待通りに光度を増してくれない可能性もあるという事を承知して下さい。

実は観測の結果、紫金山・アトラス彗星は”ヴァージンコメット”と呼ばれる初めて太陽に接近する非周期彗星である事が判明したのです。
太陽系の遥か外縁部には理論上の空間「オールトの雲」が太陽系を取り巻いていると考えられています。

「Image Credit:オールトの雲の想像図(Vito Technology,Inc.より)」
そのオールトの雲を起源とする非周期彗星は、太陽の遥か遠くからやって来るため、長い時間の間に多くの揮発性物質を放出してしまい、太陽に接近する頃には揮発性物質が枯渇してしまっていると考えられています。
もし、紫金山・アトラス彗星に肝心の揮発性物質が残っていなかった場合、あまり光度が出せず期待外れの彗星になってしまう可能性もあり、観測結果によると残念ながらその可能性が高いという事になってしまいます。

とは言ってもやはり期待したい”大彗星”紫金山・アトラス彗星。
今のところ日本での観測条件はあまり良くないとされていますが、観測出来るのがスッキリとした秋晴れの多い時期で、外に出てもそれほど寒くはないでしょう。
滅多にやって来ない大彗星を期待し、その日が来る事を待ってみましょう。
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