これまで、このサイトでも3回(1回目2回目3回目)に渡って一般の人たちは持つであろう宇宙に関する知識についての間違いを指摘して来ましたが、今回で4回目になります。
今回は、これまでお伝えし切れなかった”宇宙知識の誤解”を6点程まとめてみましたので、宇宙について興味のある方のご参考にしていただければ幸いです。

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地球は丸くない

まずは、私たちにとって最も身近な天体・・・と言うより私たちが生まれ育って生活している、最も大切な存在である地球についての基本的な誤解の解説です。


「Image Credit:Wikipedia」
上画像↑↑をご覧いただいてもわかるように、私たちの地球は丸いカタチをしており見た目的にも完全な球体のようで、多くの人たちは「地球は丸い」と思っている事でしょう。

確かに地球は丸いカタチをしてはいるのですが、厳密に言うと球体ではなく「楕円体」なのです。

では何故地球は球体ではなく楕円体なのか?についてですが、それは地球の回転、すなわち自転による影響であって、地球が自転する事によって生じる遠心力の影響で少しひしゃげた楕円のカタチをしているのです。

「Image Credit:Wikipedia」
つまり、地球が回転する事によって回転軸(両極)から離れるほど遠心力は強くなり、最も遠心力が大きくなる赤道付近の半径が広がってしまうという現象が生まれる事になります。
この事により、地球の極半径が約6,357キロなのに対し、赤道半径約6,378キロとわずか20キロ程ですが赤道半径の方が大きくなっているのです。

ただ、直径が12,700キロキロ以上もなる巨大な地球にとって、わずか40キロ程の誤差では見た目的には楕円だと感じる人はいないと思いますので、地球は楕円体ではなく”ほぼ球体”であるといった方が正しい表現なのかも知れません。

太陽の色は黄色ではない

私たちが太陽に対する色のイメージは黄色もしくはオレンジ色だと思っている人は多いでしょうし、実際、太陽は表面温度が摂氏5,300度から6,000程のG型主系列星に分類される「黄色矮星」と呼ばれる恒星であり、呼び方も”黄色”と言っているほどですから「太陽は黄色い」と思っている人が多い事は仕方のない事なのかも知れません。

「Image Credit:Wikipedia」
では、太陽の色が黄色やオレンジでなかったら本当の色は何色なのでしょうか?
それは、太陽が持つ色の成分には黄色やオレンジもありますが、実際はそれらの色を含めた全ての色が融合された色。すなわち「白色」であると言った方が正しい事になります。

「Image Credit:iStock」
本来、太陽から放出される人間の眼で見える色は7色で、それぞれの色が波長を持っており、それらが地球の大気を通過する段階で光の屈折が起こり、結果として光が散ってしまう(散乱)現象が発生してしまい、その散乱現象によって残った波長の長い黄色やオレンジが私たちの視界に届く事で、私たちは太陽は黄色(オレンジ)と思ってしまっているのです。
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彗星の尾の流れ方は進行方向とは関係ない

「彗星」と言えば、長い尾を引く”ほうき星”とも呼ばれる印象があると思いますが、あの流れる尾を見た人の中には、彗星の進行方向の後ろへ尾が流れていると思っている人もいるのではないでしょうか?

「Image Credit:1986年に出現したハレー彗星(Wikipediaより)」
彗星に正体は、一般的に数百メートルから数キロ程度の小さな氷と岩石で出来た小天体であり、その大半が光も熱もほとんど届かない冷たい深宇宙からやって来ており、それが太陽に接近する事で彗星の本体(核)から氷等が溶け出す事で巨大な塵の粒子で覆われるコマを形成し、そのコマこそが彗星の尾であり、コマが太陽風(太陽から放出されるプラズマ粒子)によって尾のように流れ出しています。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
つまり、彗星の尾は進行方向の後ろに流れているのではなく、太陽風によって流れているため尾の前方には常に太陽があるという事になり、進行方向には関係のない事になるのです。

小惑星帯は100万キロ等間隔に広い

火星の公転軌道と木星の公転軌道との間には、小惑星帯(アステロイドベルト)と呼ばれる小惑星の公転軌道が集中している領域が存在します。

「Image Credit:Wikipedia」
小惑星帯のイメージは、宇宙空間に無数の小惑星が密集していると思っている人もいるかと思いますが、それは大きな間違いで大部分は空隙が広がっているとされており、その空隙は平均で100万キロはあると考えられています。
実際、これまで何機もの探査機が小惑星帯を通過して木星や土星等の探査に赴いていますが、これらが小惑星帯を通過する際に小惑星等の天体に衝突した例は一度もありません。
ただ小惑星帯に存在する小天体は相当数(数百万個)あると推定されています。でも空隙は広大である!という事はそれだけ宇宙空間は広いという事なのです。

肉眼で見える星空の星は限られている

晴れて澄んだ夜空を見上げると無数の星々が幻想的に輝き「宇宙全体」を見渡しているように感じる人は多いのではないでしょうか?

「Image Credit:iStock」
しかし、私たちが壮大に感じて眺めている星空は宇宙のほんの一部にしか過ぎず、それも銀河(天の川銀河)の端っこの星々のほんの少しだけしか見えていないのです。

それはどういう事なのか?と言うと、私たちの地球がある太陽系は直径が10万光年もある銀河の外れにあり、そこから私たちは周辺にある星々を見ているに過ぎませんし、視力の良い人でもわずか2,000~3,000光年離れた星までしか見えていないのです。

「Image Credit:Facebookより」
ですが、肉眼でもマゼラン銀河やアンドロメダ銀河等、一部の遠方天体も見る事は出来ますが、それでも私たちが普段見ている星々は”ご近所”にある星たちばかりなのです。

北極星は入れ替わる

北極星は北側の極星(ポールスター)で「こぐま座α星のポラリス」を指し、北極星を中心に北半球で見える星々は天を巡っています。

「Image Credit:iStock」
ですが、ポラリスが常に極星というワケではなく、たまたまポラリスが現在の地球自転軸を北極側に延長した天球面上の「天の北極」近くにある星であるというだけであって、いずれポラリスは自転軸の向きが変わる歳差運動によって北極星ではなくなってしまいます。

地球の自転軸は、地球の公転面に対し垂直になっているワケではなく約23.4度傾いており、これにより公転時の太陽光が当たる高さが変動し、地上での寒暖の差が生まれ四季が訪れる要因になっています。
ですが、地球の自転軸はずっとこのままではなく、例えばコマを回したときのようにコマの心棒が一定の傾きを保ったままズレるように、地球の自転軸も少しずつズレて行きます。これが歳差運動と呼ばれる現象(約26,000年の周期で一回り)なのです。

「Image Credit:国立天文台 天文情報センター」
この歳差運動により現在は北極星であるポラリスも少しずつ極星から外れて行き、約1万1,000年後には、現在は七夕の織り姫星として有名な「こと座のベガ」が北天に移動し北極星になるとされています。
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