太陽系の全体像って聞いて多くの人は、太陽を中心に8つの惑星が周っているのをイメージするんじゃないでしょうか?
しかし、それは太陽系全体で見たらほんの一部にしか過ぎません。
実は太陽系は、8番目の惑星である海王星よりもずっとずっと遠いところまで続いているんです。

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皆んなが知ってる太陽系の最果て

私たちが子供の頃、理科の授業で太陽系の概要について学んだと思います。そのときに教わったのが太陽を中心とした太陽系の構造が、太陽から近い順に。
「水(水星)」「金(金星)」「地(地球)」「火(火星)」「木(木星)」「土(土星)」「天(天王星)」「海(海王星)」「冥{冥王星)」だったと思います。

「Image Credit:NASA」
その後(2006年国際天文学連合(IAU)総会)、冥王星が惑星から外され準惑星に分類された経緯で、太陽系は太陽と8つの惑星、そして冥王星までで構成されていると多くの人が認識しているかと思います。
また、最近では冥王星の外側の領域(エッジワース・カイパーベルト)まで探査機が行き、その領域内にある小惑星を探査した事も話題になった事は記憶に新しいのではないでしょうか?

「Image Credit:探査機が到達した地球から一番遠い天体・小惑星アロコス(NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute/Roman Tkachenko)」
ちなみに探査機が到達した地球から一番遠い天体「アロコス」までの距離はおよそ70億キロ。おそらく多くの人たちは、このアロコスがある辺り(エッジワース・カイパーベルト)までが太陽系ではないか?と思っているかも知れません。

太陽系の外に出た?ボイジャー号の軌跡

1977年に打ち上げられた探査機ボイジャー1号と2号。人類が太陽系の深部まで送り出した探査機の中で、現在最も遠くまで到達している事が確認されているのがこの2機の探査機です。

「Image Credit:Wikipedia」
現在(2023年初頭)、ボイジャー1は地球から約240億キロ、2号は210億キロと、秒速30万キロで進む光の速さでも約22時間もかかるとというとてつもなく遠い位置を飛行中で、現在もどんどん地球から離れて行っており、一部のメディアではこの2機の探査機は既に太陽系の外に出たと報じているところもありますが、実はそうではなく、太陽風と恒星風がぶつかる太陽圏境界面(ヘリオポーズ)を通過し、太陽風が届かない恒星間ガスに満ちた恒星間空間に到達したのですが、まだそこは太陽系の中で、完全に太陽系の外に出るにはまだまだ気の遠くなるような時間がかかってしまうのです。
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太陽系の最果てはとてつもなく遠かった

私たちの視点からすると太陽系の最果てまで行ったと思えるボイジャー号ですが、恒星間空間に到達するまで約40年かかっています。
しかし、そこは太陽系の最果ではなく、ボイジャー号が太陽系の最果てに到達し、完全に太陽系を抜けるまで、あと数万年はかかると推測されているのです。
つまり、太陽系全体から見ると、今ボイジャー号がいる場所は太陽系のまだまだ内側という事になるのです。

では、本当の太陽系の最果てはどこで、そこには何があるのでしょうか?

「Image Credit:Vito Technology,Inc.
太陽系の最果て。そこにはまだ理論上の空間ではありますが、「オールトの雲」と呼ばれる太陽系全体を取り巻く氷と塵の巨大な雲状の空間があると考えられています。

オールトの雲の内側の境界は太陽から約3,000億キロにあると考えられており、完全に太陽系を抜ける外側は1兆キロ~30兆キロ先ではないか?と推測されていますが、何分にも理論上の空間であるため定かではありません。
前述もしましたが、オールトの雲は氷や塵等を含む微天体で構成されていると考えられ、これらの総質量は地球の10~100倍ほどと考えられていますが、広大な空間に広がるオールトの雲は、非常に薄い膜のような状態で存在しているものと考えられています。
またオールトの雲は”彗星の生まれ故郷”とも言われており、数百年から数万年をかけて太陽を周回する長周期彗星の起源がある場所とも言われています。

オールトの雲を抜けたら隣の恒星はすぐそこ?

仮に太陽系最果てにあるオールトの雲が30兆キロ先まで続いているとした場合、1光年は約9兆5,000億キロになりますので太陽系は3光年の大きさがあるという事になります。
さらに、太陽系の隣りの恒星系であるアルファ・ケンタウリまでは約4.5光年ですので、太陽系を抜けたらアルファ・ケンタウリはすぐそこにあるという事になります。

「Image Credit:Yahoo!キッズ図鑑」
残念ながら、今地球から一番遠いところにあるボイジャー号の向かっている方角はアルファ・ケンタウリ方向ではありませんが、将来、太陽系外の星を探査する場合、オールトの雲の向こう側には隣の恒星系があり、その恒星系にも同じようなオールトの雲が存在すると考えたら、太陽系とアルファ・ケンタウリ星系は密接した距離感であり、探査機を向かわせる一つの指標になるかも知れませんね。
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