今や世界中に普及していると言ってもいいほど、インターネットは誰もが使える手軽な通信手段になっています。
ですが、その反面制限も多く都市部以外では通信速度も遅くなり、どこでも使えるとまでは言えないのがインターネットの欠点でもあります。
そんな欠点が解決され、世界中どこでも高速インターネット通信が使えるようになったらどんなに便利な事か?と、それを実現しようとしているのが「スターリンク計画」です。

しかし、そこにはいくつかの問題点も。

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スターリンク計画って何?

スターリンク計画(Starlink)」とは、今や宇宙ベンチャー企業として最大手まで成長したアメリカの「スペースX社」が手掛ける高速インターネット衛星網の事です。
この計画を簡単に言えば、大量のインターネット通信衛星で地球全体を覆い尽くす事で世界中どこにいても途切れることのない高速インターネットが利用できるようになるという壮大で夢のようなサービスです。

「Image Credit:SpaceX」
スターリンク計画では、合計約3万基にも及ぶ通信衛星を高度350キロ~1,150キロの地球低軌道に配備し、全世界を網羅する高速インターネット通信インフラを整備する事を目的としていますが、この事業は既にスタートしており、2019年5月24日には60基のスターリンク通信衛星が打ち上げられ、年間1,000~2,000基のペースで打ち上げを実施する予定との事で、かなりのハイペースで打ち上げが行われますが、目標とする完全配備の3万基まではかなりの年月を要し、実際の運用開始まではまだまだ時間がかかる事が予想されます。

「Copyright ©:Mark Handley All rights reserved.」

スターリンク計画にある背景

記事冒頭でインターネットは世界中で普及とご紹介しましたが、現実問題としては、東南アジア、南米、アフリカなどの地域の後進国を中心にインターネットの普及はまだまだで、全世界の人口の半数以上がインターネットに接続出来ない地域で暮らしています。
これにより社会的にも格差が生じ、都市部以外の地域や後進国の経済発展を遅らせる要因の一つにもなっています。
そんな格差を埋めるためにはインターネットのインフラを進める事は急務となってはいるものの、過疎地や離島、紛争地域等に基地局を建設する事は困難で、また、それらのネットワーク自体を繋ぐことも地上では技術的に難しいという事から、宇宙空間に通信網を張り巡らせるというアイデアは以前からあったようです。
しかし、そのアイデアを現実化する事も人工衛星の開発やロケット打ち上げ費用等のコスト面でも難しく、なかなか進展はしてきませんでした。
ですが、近年になりインターネットサービスの普及化に伴い低コスト化が進み、宇宙事業に民間ベンチャーが次々と参入してきた事で衛星の開発の低コスト化、更には技術も進んだ事で宇宙通信網構築が現実味を帯びて来ました。
これをいち早く現実化したのがイーロン・マスク氏が率いるスペースX社だったというワケです。
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スターリンクの衛星通信網システムとは?

スペースX社がスターリンク計画の構想を発表したのは2015年でしたが、その後しばらくは情報が公表されて来なかったのですが、その間に着々と計画は進行していたようで、2018年に地球低軌道に約1万2,000基のスターリンク衛星を打ち上げる予定である事を発表し、さらに最近になって3万基の衛星打ち上げを追加申請しています。
なお、この衛星通信網は投入される軌道、衛星の機能によって異なり、小さいモノで約100キロほどの重さから約500キロの重さのモノまで種類があり、うち高度1,110~1,325キロの軌道に配備するのは、小さなアンテナでの大容量通信に適した周波数帯のKuバンドとKaバンドを装備した衛星で、また、より低軌道に配備するのはKuバンドとKaバンドより周波数が高く、大容量の通信や妨害を受けにくいVバンドという周波数の衛星と、大きく分けてこの2種類が配備されるとの事で、より通信性能が高く高速で遅延が生じにくいインターネット通信網が実現するといいます。

「Image Credit:地球低軌道を周るスターリンク衛星のイメージ図(SPACEX H.P.より)」

スターリンク衛星通信の問題点

地球全体を網羅する夢のインターネット通信網「スターリンク」。
しかしそこには問題点も多く、今後の運営に大きく影を落とす事も懸念されています。

まず懸念材料として挙げられるのがコスト面。
技術の発展等で低コスト化は進んだモノの大量の人工衛星を投入するこの計画にかかるコストは莫大なモノとなり、最低での100億ドル(約1兆1,000億円)以上の費用がかかると試算されており、さらに衛星を運用維持する費用も莫大なモノとなり、この通信システムで黒字を出すとなれば、それなりに高額な利用料負担になる事が考えらえていて、一般の利用者が気軽に使えるようになるには、まだだいぶ先の話になるかも知れません。

そして最大の懸念となるかも知れないのが宇宙汚染の脅威。
最終的には3万基を超えて軌道に投入されるかも知れないスターリンク衛星。
つまり、相当数の人工衛星が私たちの頭上を常に飛んでいるという事になるワケで、これで星空が人工衛星で汚染されてしまう?というよりも大量の人工衛星が邪魔になり、地上からの天体観測に支障が出てしまう恐れがあると言います。
これにより天体観測の”光害”になり天体の光を遮ってしまい、十分な観測が出来なくなってしまうどころか?仮に地球に衝突する危険性のある小惑星の発見を遅らせてしまうような、致命的な影響を及ぼす事も考えられます。
また、故障や使用済になってしまったスターリンク衛星は、地球に自由落下させて大気摩擦で焼却処分するとの事ですが、果たして大量の衛星の管理を完全に制御できるのか?についても疑問が残り、いたずらにスペース・デブリを増やしてしまう結果になってしまわないか?
たくさんの人工衛星が地球の大気で燃える事で大気汚染に繋がらないか?も大きな懸念材料にもなります。
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