もう間もなく超新星爆発を起こし世紀の天体ショーを見せてくれる!?と期待されているオリオン座のα星「ベテルギウス」ですが、一部ではその爆発は今年中にも?!とウワサされていたのですが、ここに来て残念な情報が入って来ました。
その残念な情報とは、ベテルギウスの超新星爆発はまだまだ先の事だというのです。
しかもその世紀の天体ショーは、私たちが生きているウチには見れそうにもなさそうなのです。
恒星進化の最終段階にある巨星・ベテルギウス
冬の代表星座のオリオン座、そして冬の大三角の一角を成す一等星「ベテルギウス」。ひと際目立つその姿は、冬の夜空に赤く輝いており星に詳しくない人でも容易に見つける事が出来ます。「Image Credit:Yahoo!JAPAN きっず図鑑」
そんなベテルギウスは、恒星としての進化の最終段階にあり大きく膨張した姿に変貌しており、いわゆる赤色超巨星にまで進化し、その大きさは想像を絶するモノで直径がおよそ14億キロ。これを太陽の位置に置き換えると、ベテルギウスは木星軌道にも達する大きさになっているそうです。
「Image Credit:mail Onlineより(※ 左下0.015″は太陽と地球の距離である1天文単位を表します。」
ここまで進化をしたベテルギウスはいつ重力崩壊を起こしてもおかしくない状態にあり、数年前から「ベテルギウスの超新星爆発は間近である。」と言われ続けて来ました。
ベテルギウスの超新星爆は人類史上初の大天体ショー
ベテルギウスのように赤色超巨星まで進化を遂げた恒星は宇宙にはたくさん存在しますが、なのに何故、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと世紀の天体ショーとなるのでしょうか?それは単純にベテルギウスと地球との距離が近い事にあるのですが、近いとは言っても秒速30万キロで進む光の速さでも640年かかる距離にあり、それでも宇宙の距離的感覚で言うと近距離に相当し、しかも640光年という距離はかなり近い距離と言えます。
そんな近距離で起こるであろう超新星爆発は、人類史の中でも前例がなく初めての経験となりますが、もし、ベテルギウスの超新星爆発が起こったら地球からはどんな天体ショーが見れるのか?そんなシュミレーションをした有名な動画があります。
もしこんな天体ショーを見る事が出来たら一生忘れる事の出来ない大イベントになると期待できるのですが、最新の研究報告によるとどうやら私たちが超新星爆発を目撃できる可能性は低いとの事のようなのです。
ベテルギウスの超新星爆まではまだ10万年以上の時間が必要か?
専門家たちの詳しい分析結果によると、ベテルギウスは現在、星の中心部で水素の燃料が尽き次の段階であるヘリウムが熱核融合を起こしていると考えられており、つまり、星の進化の過程を辿るとヘリウムの核融合の段階を経て炭素や酸素等の核融合が始まる段階がまだまだ控えており、この全ての段階が終えるまでは少なくとも10万年以上の時間が必要との推測が出ているのです。また、当初見積もられていたベテルギウスの質量は太陽の約20倍と推定されていたのですが、今回の観測研究の結果で現在の質量は太陽の16.5倍から19倍ほどで、当初の推定値よりわずかに小さいことも判明したのです。
この質量差によっても、最終段階までの時間差も出て来るため超新星爆発まではまだまだ時間が必要であるとの結論が出てしまった事になったようです。
さらに、今回の研究では地球とベテルギウスまでの距離も再測定されており、当初は640光年と発表されていましたが実はそれよりも100光年以上近い530光年である事も判明。
ですが、想定よりも距離が近かった事で、地球に何かしらの影響が及ぶ事はなく、それよりもこれからの研究でもっとベテルギウスについての詳細な情報が判明し、もしかしたら超新星爆発の時期も早くなる可能性もあるかも知れません。
ただ、いずれにしても、私たちが生きているうちに近距離で起こる超新星爆発の観測は出来そうもない事は確定的のようです。