私たちが住む生命で溢れた惑星・地球。このような環境の星は現時点では太陽系はおろか、広い宇宙のどこにも見つかっておらず、地球は奇跡的に誕生した宇宙の中でも特異な惑星なのかも知れません。
しかし、何故地球は奇跡的に誕生した星なのでしょうか?
誕生から現在までをプレイバックし、地球が置かれている環境はどのようになっているのか?等について少し調べてみました。

Sponsored Link

地球の奇跡の環境はどうやって創られたのか?

宇宙空間を漂う星間ガスが集まり誕生した太陽。その誕生はおよそ46億年前だと考えられています。
太陽誕生から少し遅れて、太陽形成で余ったガスや塵などが集まり太陽の周りを周り始め、原始惑星系円盤を形成します。それが現在の太陽系の惑星たちの始まりで、その中のガスや塵、小天体が少しずつ一箇所に集まる事で原始地球が誕生して行きます。

「Image Credit:原始惑星系円盤想像図 中心が太陽(東京大学大学院理学系研究科・理学部より)」
原始の地球では、小天体等の衝突・融合を繰り返しす事で徐々に巨大化し、現在の地球の原型が出来上がって行きました。
その原型は、まだ大気も海も存在しない巨大な岩石の塊であり、内部では衝突の影響で熱く燃え滾っていた状態だと考えられます。

「Image Credit:原始地球イメージ(Wikipediaより)」
この当時、地球と同じような状態の天体(岩石惑星)だったのは金星や火星等ですが、しかし、地球はここから金星等とは違った成長の経緯を辿っていきます。

生命誕生のきっかけとなった原始地球で起こった惑星の巨大衝突

原始地球が誕生してまもなく、火星クラスの巨大惑星が地球に衝突するという出来事が起こります。これを「ジャイアント・インパクト」と呼びますが、まだこれは事実として認定されているワケではなく有力な説に過ぎません。

「Image Credit:ジャイアント・インパクトの想像画(NASAより)」
この巨大衝突により地球の地軸は傾き(23.4度)、自転速度も加速され、さらには衝突で飛び散った天体の破片が一時的に地球を取り巻く環を形成、それらの破片はやがて一箇所に集まり月が形成されたと考えられています。

「Copyright ©:国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト All rights reserved.」
ジャイアント・インパクトは仮説ではありますが、この衝突がなかったら現在のような生命に溢れる地球は誕生していなかったと考えられています。
ちなみに、このとき原始地球に衝突した火星クラスの惑星の名前は「テイア」だそうです。

大気や海が誕生した原始地球

岩石の塊だった原始の地球に大気をもたらしたのは彗星ではないかと考えられており、氷と岩石の塊である彗星が次々に地球に衝突した事で水蒸気が地球の周りを覆い、やがて熱く焼けた地表が冷却されると水蒸気が水となり地上に大量の雨を降らせ、それが海となって地上の約7割を覆う事となります。

「Image Credit:iStock」
なお、現在の地球の海の原型が出来たのは約38億年前くらいだと考えられています。

生命誕生は意外と遅かった?

約44億年前に海が形成されたとされる地球ですが、すぐに生命が誕生したワケではなく生命誕生まではそこから永い年月が必要となります。
海が出来ても基本的に無機質な状態だった地球。その状態は約5億年以上も続きましたが、現在の考えでは、海が誕生したほぼ同時期に生命の種であるアミノ酸など有機分子が豊富に海に溶け込んでいたと考えられており、生命が誕生するだけの素材は、かなり昔から存在していたと思われるのですが、実際に生命が誕生したのは約38億年前ではないかとされています。

そして少しずつ環境が緩和されて行き、生命が誕生出来る状態に成長した地球では有機分子が化学反応を起こし、海の中に多細胞生物が誕生し5~4億年前には陸上にも生物が進出して来ました。

脊椎動物への進化~そして恐竜の時代へ

陸上進出を果たした生物は、植物や原始脊椎生物などで恐竜の出現は約2億年前ではないかと考えられています。

「Image Credit:iStock」
約1億5千万年もの長きに渡り大繁栄をしてきた恐竜時代。しかし、その繁栄が終わりは突然告げられます。それが起こったのは白亜紀末の約6,700万年前。
恐竜大絶滅の要因と考えられているのが、この時代に地球に衝突したと思われる直径10キロにも及ぶ巨大隕石(小惑星)。この隕石が現在の中米・ユカタン半島付近に落下し、地球環境に大打撃を与えその結果恐竜時代は終焉を迎える事となります。

「Image Credit:iStock」

恐竜に代わる哺乳類の繁栄で人類誕生~そして現代へ!

恐竜が繁栄していた時代、私たち人類の祖先である哺乳類は恐竜の影に隠れてほそぼそと生きていました。

「Image Credit:哺乳類の祖先(ILLUSTRATION BY ANDREY ATUCHIN)」
しかし、恐竜が絶滅し、それに代わって哺乳類たちが繁栄し進化を続けていきます。そんな中で誕生したのが人類の祖先です。。

「Image Credit:NASA,ESA,G.Cecil (UNC, Chapel Hill) and J.DePasquale (STScI)」
人類の起源は約500万年前のアフリカ大陸だと言われ、そこから世界中に散らばって行き現在の人類の繁栄につながっているそうです。

何故、太陽系で地球だけが生命に恵まれたのか?

太陽系創世期。地球と同じうように誕生したとされる岩石惑星の金星や火星ですが、ご存じのように金星や火星はとても生命など繁栄できる環境にありません。
それは何故なのでしょうか?
その理由は、いくつもの条件が重なりその地球との差が「奇跡の地球」と言われる所以となっています。

地球誕生までのいくつもの偶然?

生命に溢れる地球が誕生した理由を遡ると、まずは太陽系が誕生した場所に行きつきます。
地球誕生の偶然~その1
荒れ狂う星の集団・天の川銀河の末端に誕生した太陽系。
私たちの太陽系が属する銀河・天の川銀河は2,000億個を超える星(恒星)の集合体で、太陽は2,000億分の1個となるワケで銀河の中心に行けば行くほど星の密度が高くなり、そこでは星の誕生や終焉を繰り返し生命生存には致命傷となり得る恒星間風も激しく吹き荒れていることが考えられます。
しかし、太陽系があるのはそんな銀河中心からは遠く離れた領域。オリオン環と呼ばれる銀河の末端部に属します。

「Image Credit:Facbookより」
この領域での星の密度は非常に低く、例えるならスイカを1つの太陽と見立てると太平洋にスイカを2個浮かべているような密度だと言います。
この非常に低い恒星密度により、太陽系が他の恒星からの悪影響を受けにくいという理由があると考えられているのです。
地球誕生の偶然~その2
丁度良い質量と長寿命の太陽。
地球の主星(恒星)である太陽。太陽の質量から放出される光量と熱量は、生命生存には適していると考えられており、大質量の恒星から放出される強力は放射線もそれほど強くなく太陽内部で起こる熱核融合反応も緩やかで約100億年の寿命を持つと考えられており、この寿命の長さが生命を育むには十分の時間を与えてくれていると考えられており、実際に地球誕生から現在まで約46億年を経過してもなお、太陽は主系列星を保ち安定して活動しています。

「Image Credit:Wikipedia」
地球誕生の偶然~その3
太陽との距離が絶妙な場所にある地球。
太陽と地球は約1億5,000万キロの距離にあり、この地球の軌道がある領域は生命居住可能領域・ハビタブルゾーンと呼ばれ、太陽から放出されるエネルギーが緩和される距離で水が液体で存続出来る領域とされています。

「Image Credit:NASA」
さらに、この領域を公転する地球はほぼ真円を描く軌道で周回しており、これが地球環境を一定に保つ要因ともなっています。
ちなみに、地球と同じ岩石惑星である金星や火星はこの領域外にあり、もし金星などがハビタブルゾーン内に存在した場合、もしかしたら地球と同じような環境になり生命に溢れた星になっていたのかも知れません。
地球誕生の偶然~その他
他にも、地球に生命が溢れる要因になっている偶然はいくつもあり、例えば
地軸の傾き。
黄道面から23.4度も傾いている地球の地軸。この傾きも地球の生命生存に大きなプラスの役割を果たしていると言います。
衛星・月の存在。
地球の衛星である月。この大きさは地球の4分の1ほどしかありません。
この月の大きさと質量が地球の重力バランスに影響を与え、強い潮汐力で地球の自転スピードのバランスをとってくれています。
巨大惑星・木星の存在。
木星もまた、地球の生命維持に欠かせない存在だと言われており、強大な重力を持つ木星が太陽系外縁部からやって来る小惑星や彗星などを引き付け、地球に衝突する危機から守ってくれていると考えられています。

偶然がもたらす全ての材料が揃った生命の星・地球

地球に生命が存在するのは何故なのでしょうか?
その要因のほとんどは、ここで紹介したような地球が持つ偶然にあり、他にも地球の質量や大きさ。さらには最近の研究でわかってきた地球の地殻プレートの重要性もあるようです。
時に地震をもたらす危険な要素もあるプレートですが、プレートのズレで生じる火山噴火。これにより、地球の大気にに不可欠な温室効果ガスが放出され地球の温度を保っているそうです。

これらいくつもの偶然による?地球存在の条件。
全てが揃ってこそ、現在の地球が存在すると考えられています。
現在、そんな偶然が創った奇跡の星・地球を汚し続けている人類。これ以上、人類のエゴによる環境破壊が続いた場合、地球の奇跡の環境バランスが崩れ最悪の場合、生命が生存できない環境になる可能性もゼロではないのではないでしょうか?
Sponsored Link